相変わらず暑い日は続いていますが、先日の台風10号が過ぎ去った直後から秋らしい夜の虫の音が夜の散歩中に聞ける季節になりました。
夜のウォーキングではご近所さんの花の香りを歩きながら感じる事も楽しみの一つになっているのですが、8月は外を歩いていても夏咲きの百合がたまに香る程度でそれ以外の花の香りはあまりしてきません。
今丁度咲いているアベリアやおしろい花なども顔を近づけるとほんのり良い香りはしますが、これらよりもう少し強い香りの強い芳香花は少ないです。
もっと遅い夜中に咲く花もありますし、時間帯や歩いているエリアの特性もあるのかもしれませんが、春や初夏に比べると花の香りは少ないです。
南国原産の花には先日記事にしたばかりのマツリカや、 イエライシャン / プルメリア / イランイラン / 夜香木 / チュベローズなど強い芳香の花は沢山ありますが、沖縄などの暖地を除いてなかなか日本の夏の庭でマツリカなどの南国の芳香性の花を育てているお宅はほとんどなく、外を歩いていても夏咲きの百合の香り以外は特に強い花の香りは漂っていません。
初夏や夏の強い香りの花は夜に開花して夜間に強く香り日中は香りが半減するものが多いです。夏の花は夏に元気に成長する植物である事がほとんどだと思いますが、やはり夏の花とはいえ強い太陽の元だと葉より繊細な花が傷みやすいから夜に咲いて夜活動する (香りで虫を引き寄せ受粉を促す) のでしょうか。または激しい太陽が苦手な多くの虫に配慮して夜間に強い香りを放つべく日没以降に花咲くのでしょうか。
意外と少ない?真夏の日本ならではの芳香花
日本でなじみ深い夏の芳香花というと、初夏にこそクチナシやスイカズラやテイカカヅラや早咲きの百合などの強い香りの花が咲きますが、真夏の芳香花というと盛夏に咲くタイプの百合と上で挙げた芳香性のギボウシ、春のテイカカヅラや初夏のクチナシの返り咲き、日本の花ではないけれども長く日本で親しまれている月下美人や鬼面角の花の強い芳香…その他はすぐには思い浮かんできませんでした。
日本で咲く真夏や晩夏の花自体が春や初夏に咲く沢山の花よりも少ないので、真夏は芳香性の花が少ないと感じるのは当然かもしれませんが、私が庭付きの家から庭のない狭い家に引っ越したため、育てる植物の数が減ってしまい忘れているだけかもしれないと思い、日本ならではの夏の芳香花をもう一度見直してみる事にしました。そうしたら少しだけ忘れていた真夏に咲く芳香花を思い出しました。
以下に日本原産の植物や、外来種でも昔から日本で馴染のある植物の中で、かつ自分の身近にある(あった)植物の中からあらためて思い出した盛夏から晩夏の芳香花と、存知の盛夏から晩夏の芳香花を書き出します 。
※ 当記事では日本ならではの植物の中から芳香のある真夏から晩夏の花を取り上げるので、一部の例外を除いてピカケ(茉莉花)やイランイラン、プルメリアなどの南国の花は除く事にします。
8月に咲く真夏の百合
日本の夏の香り高い花といえば何といっても百合。初夏から夏にかけて様々な百合の花が咲きますが、ここでは8月に咲く身近な百合を取り上げました。
新鉄砲百合(シンテッポウユリ ) の一種?白く細い晩夏に咲く百合
画像の花は名称は不明ですが、8月の半ばから咲き始めていて、丁度まさに今が見ごろの晩夏の百合です。
やや強めのとても良い香りがしますが、濃厚な香りというよりもすっきりした優しい良い香りです。
細く繊細な葉に細く美しいラインの百合で主張しすぎない風貌である一方、白さが際立ちとても涼しげで爽やかな百合です。良い意味で目立つ晩夏の花です。あちこちで咲いているので繁殖力が強い百合です。名前が知りたい。葉は画像の通り細く、タカサゴユリの側面の赤紫のラインのない白花バージョンのような花です。
結構あちこちに咲いていて、場所を変えながら種で殖えて咲くタイプのようです。
盛夏に咲く 鹿の子百合
鹿の子百合は東京近郊では7月下旬頃から咲き始めお盆を過ぎる頃に咲き切り、丁度8月前半の夏真っ盛りの時期に見頃を迎えます。
優しい香りのおしろいのような甘さを感じる香りですが、甘ったるい濃厚な香りではなくあくまで優しい香りです。コットンキャンディー系の香りをソフトにしたような、ベビーパウダーのような優しい香りがします。
今年の開花写真を撮り損ねてしまったので、来年写真を差し替えたいと覆います。
夜に咲き香る 白花夕顔
今まで散々芳香性の花の記事を切り口を替えながらアップしていたにも関わらず、盛夏から晩秋まで長く咲き続ける白い芳香花「 夕顔 」の事をすっかり忘れていました。
日本原産の花ではありませんが、古くから日本で栽培されていて日本でも馴染のある花です。
今はクレマチスのグリーンカーテンがあるので育てる事もなくなってしまいましたが、10年前まで毎年グリーンカーテンとして西洋朝顔(昼顔)や朝顔と一緒に育てていました。
地植えにしていたので、1階から2階の上まで、3階に届く勢いでびっしりと夕顔と昼顔のグリーンカーテンで家の南の壁が埋まり、壁一面に沢山の花が咲きました。
7月終わりごろから咲き始め、8月から10月まで花が次々に咲き、11月に入るとポツポツと花開く程度になります(昼顔に至っては12月に入っても開花が止みません)。
まさに盛夏から晩夏が花の盛りの夕顔。大きく艶めいた花からは思いもよらず優しい香りが漂い、盛夏から秋までの間咲き続けます。
闇夜に輝くように咲く白い大きな花は涼しげでありながら日本の夏の奥行を感じるような何か妖しいような魅力があり、周囲に香りをまき散らすと言うよりも1輪の花の近くに寄ると何とも言えない少し濃厚な良い香りがします。
花重視で実はカットしてしまっていましたが、調理に使える丸ユウガオも長ユウガオはウリ科の植物ですが、この白花夕顔はヒルガオ科ヨルガオ属で、実はおそらくあまり大きくならず種の採取だけしかできないのでは思いますが、一度大きく育つかどうか切らずに置いておけば良かったと思っています。
晩夏から勢いづく ジンジャーリリー( ヘディキウム )
7/31の記事でも挙げましたが、ジンジャーリリーも夏の芳香花で特に夜間にとても良い香りを放ちます。
現在はあまり見かけませんが、もともとインドや東南アジア原産の植物で日本の植物ではないものの、江戸時代から親しまれているなじみ深い植物です。
大人の身長ほどの背丈のでる植物で、地下茎でどんどん増えていくのである程度のスペースを確保して植えた方が見応えがあります。かつての我が家でも1畳ほどのスペースを確保して植えていました。
画像の花は園芸種ですが、元が熱帯植物なだけに7月よりも夏の盛りを迎えた8月以降の方がどんどん開花していました。
夏の海辺で香る 浜木綿 (ハマユウ)
関東でも暖かい海辺のエリアで夏にみかけるハマユウも夏の芳香花です。
とても良い優しい香りのする白い花が爽やかな夏の花ハマユウ。関東では7月に見頃を迎えるので、盛夏・晩夏の花と言うには少し早咲きの夏の花ですが、バリ島などの南国リゾートでも季節を問わず咲いているのを見かける夏らしい花です。 冬も温暖な沖縄では3月でも咲いていました。
ハマユウのように主に7月に咲く芳香花をここで取り上げてしまうと他にもタイサンボクなど良い芳香の花も該当しますが、
ハマユウは一度も記事にしていなかったのでここで一度挙げておきます。
ハマユウは庭があれば一角に植えてみたいと思っていましたが、耐寒性が微妙にギリギリそうなのと、球根が巨大になり、どんどん数も増えてゆくのでやはり暖かい海辺でのびのび育つのが一番かもしれません。
エンジェルトランペット( エンゼルトランペット 木立朝鮮朝顔 キダチチョウセンアサガオ )
こちらも芳香花としてすっかり忘れていましたが、初夏から晩秋まで沢山の花が咲き(時には冬にも)、夜に花開き良い香りを放ちます。
日本由来の植物ではありませんが、江戸時代に渡来して以来日本で親しまれている植物で、街中でも見かけます。
オレンジピンクのエンゼルトランペットが今はもうない都心の実家の庭に植えてあり、長年楽しませてもらいました。背丈があり、エンジェルトランペットは背丈が高く3メートルほどに育ち、いつも花が沢山垂れ下がる下の庭の小道を夜通って庭の離れにあるお風呂に向かっていたのですが、下を通るたびに良い香りがしていました。
ちなみにどの部位も猛毒なので子供が口にしないよう注意が必要な植物です。
チネンシス センニンソウ ボタンヅル などの真夏に咲く 一季咲性クレマチス
こちらも7/31の記事と被ってしまいますが、夏の盛りに咲き始めるセンニンソウや、我が家にあるチネンシス、またボタンズルも夏に良い香りを放つ夏咲きのクレマチスです。
残念ながら我が家のチネンシスは今年は大きな枝が沢山の蕾をつけたまま元から折れて枯れてしまい、日陰までしか伸びていない脇枝だけが残り花は少ししか咲いていません。本来なら今頃香りの良い沢山の花が次々に咲いている頃です。
「 チネンシス(フラミュラ系)」も「 センニンソウ(フラミュラ系)」も「ボタンズル(ヴィタルバ系)」も花は小さな白い小花ですが、大株に育つと株一面の沢山の花が咲き誇って辺りに香りを漂わせる原種系クレマチスです。「センニンソウ」と「ボタンズル」は日本の原種で、「チネンシス」の原産は不明ですが東アジアどこかかな?と勝手に思っています。
マゼンダ色の小花の「トリテルナータ ルブロ マージナータ(フラミュラ系)」も大株になると 沢山の花が付いて良い香りが周囲に漂うのすが、我が家では花を咲かせる事なく小苗が暗い日陰で駄目になってしまいました。
一方、同じ夏の一季咲性クレマチスでも「サマースノー」は盛夏から晩夏にかけて沢山の花が咲くのですが、香りはほとんどしません。
蓮 睡蓮 (ハス スイレン)
ハスもスイレンも、周囲に香りが漂う事はほとんどありませんが、いずれも顔を近づけると割と強い、あまり他の花にはない個性的な香りがします。蓮はお香のような不思議な香りが、熱帯スイレンに至っては南国の土産石鹸のようなトロピカルな甘い香りがします。
夏のやや強めの香りや強芳香の花は夜に咲き夜間に特に強く香る花が多いですが、蓮と睡蓮は逆で午前中に咲いて午後に閉じるのを3日間繰り返します。(熱帯性睡蓮には夜咲く夜咲き型もある)
蓮 ハス
蓮は少しツンとしたスパイシーな香り。和の雰囲気にも合う香りで独特のあまりお花屋さんでは嗅げない花の香り。
開花時期は初夏から初秋ですが、夏がまさに見頃の花。蓮池などで見ると特に7月から8月のお盆頃までが育てていて一番花数が多い印象がありますが、9月・10月に入っても品種によっては少し咲きます。
温帯性睡蓮 温帯性スイレン
温帯性睡蓮は蓮よりも少し落ち着いたお香の香り。和の雰囲気の香りがします。品種によって香りの強いものや弱いものがあります。
真夏も途切れず咲いていますが、春から秋まで咲いていて夏はやや花数が少なくなり小休止モードになり、夏は温帯性スイレンよりも下で挙げる熱帯性スイレンの方が元気に咲きますが、温帯性スイレンの中には夏も次々に花が咲く品種もあります。
熱帯性睡蓮 熱帯性スイレン
熱帯性睡蓮はハワイや東南アジアのお土産の石鹸のような甘い香りの品種が多いです。
上の蓮と温帯性睡蓮はどちらかというと和風な香りですが、熱帯スイレンはトロピカルな香り?南の島国のバカンスの甘い香りです。
花色もピンク・赤・黄・淡オレンジ・ピーチ系・白などの暖色系と白色の花色展開の温帯性スイレンとは異なり、熱帯性スイレンは紫などのブルー系のカラーが加わり暖色だけでなく寒色展開もあり、大型の品種も多く夜咲き種もあるなど、カラフルでトロピカルムード満載の睡蓮です。
熱帯性睡蓮は日本では一部の南のエリア以外は屋外での冬越えは難しいので、どちらかというと日本ならではの芳香のある夏の花ではないのですが、睡蓮繋がりで例外としてここにアップしてみました。
熱帯性スイレンは蓮や温帯性スイレンと比べて遅咲きで開花時期は夏から晩秋まで。今が最も盛りの花です。
栽培している人が少ないのか温帯性スイレンに比べるとあまり見かけませんが、ホームセンターや園芸店でも初夏頃から苗が並んでいます。
今回は日本の花という事で熱帯スイレンの中で昔育てていた「紫式部」という名で流通している熱帯スイレンの画像↓にしてみました。
初夏に咲いたミニクチナシの真夏の返り咲き(2番花)
強い芳香性の花のひとつ、ミニクチナシは東京・神奈川では6月半ば頃から7月にかけて見頃を迎えます。
7月後半頃までにはいったん開花を終えますが、花を摘むと脇から新しい蕾が出てくるのでその2番花が8月頃にポツポツと咲き始めます。
陽当たりが良すぎる場所では夏の梔子の花はすぐに痛んでしまうので、開花したらすぐに摘み取ります。
クチナシも夜に開花する花が多くあり、日中も強く香っていますが夜、特に咲いてしばらくした真夜中の香りが強いです。
我が家でも8月に花開く予定だったミニクチナシの2番花の蕾が10個以上付いていたのですが、気付かないうちに青虫にもりもり食べられてしまい、残り3個になってしまいました。
真夏も画像の花のようにミニクチナシの花は咲くには咲くけれども、初夏のミニクチナシのように沢山の花は咲かない上に夏の暑さで花も傷みやすいので、夏に返り咲くミニ梔子は周囲に香りが漂うほどでもありませんがしっかりクチナシの香りがします。
ただし夏に返り咲くからと言って、クチナシを剪定を秋以降にしてしまうと、花芽ごとカットしてしまう事になり翌年の花数が減るので注意が必要です。
我が家では8月末から9月頭頃までに剪定を済ませています。
春の一番花より夏は花数控え目に咲く テイカカズラ
7/31の記事とこちらもかぶりますが、ジャスミンに似た香りのテイカカズラも8/21現在咲いています。花数の多い春より花数の少ない夏は香りもその分減ります。
夏の今はポツポツと咲く程度ですがそれでも少し顔を近づけるとしっかり香ります。
こちらも夕方から夜に開花し、夜間に最も強く香ります。
芳香性ホスタ(香りギボウシ)
こちらも7/31の記事と被ってしまいますが、 芳香性のホスタも、一般の香りのないホスタと同様に日本に馴染のある植物です。丁度今、我が家の庭でも良い香りを放っています。
その他 サボテン系の芳香花
日本に自生している植物ではないけれども夏の芳香花といえば日本では昔から月下美人も親しまれて、いずれも濃厚な芳香花で周囲に香りを漂わせます。
また、柱サボテンの鬼面角などの柱サボテンの花も日本に自生している植物ではない外来種ですが長い間日本で親しまれている夏の芳香花です(正確には夏だけでなく初夏から秋まで咲き続けますが)。大きな花で周囲に分かる程の強い芳香を放ちます。我が家の柱サボテンももう少し成長していつか花が咲くといいのですが家の都合であまり大きく育てられないので咲く事はないかもしれません。
どちらも育ててみたいのですが(柱サボテンは栽培中ですが)、どちらもどんどん大型になるので柱サボテンだけで今は手一杯です。
大きなサボテンではないですが、我が家の「碧瑠璃鸞鳳玉( ヘキルリランポウギョク )」↑は今日も優しい香りの花を咲かせました。周囲にまで香りが漂うほどではないですが、顔を少し近づけると優しい良い香りがややしっかりと香ります。
碧瑠璃鸞鳳玉は夜ではなくお昼前頃から咲き始めて午後閉じるのを3-4日繰り返します。私は春から秋まで外に出しっぱなしにしてよほどの長雨でもない限りは雨ざらしにしてしまっていますが、雨が降るとせっかくの蕾も傷んでしまうので、できれば屋外でもヒサシの下や雨避けができる場所が好ましいです。
こうして書いてみると盛夏でも日本の庭ではしっかりした香りの花が咲いているんだなと思いました。
ここに挙げた真夏(晩夏寄り)の芳香花は、真夏咲の百合とハマユウ以外は我が家の植物(過去に育てていた花も含めて)なので、もっと他にも香りの強い花はあると思います。
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