上の画像のキャプションに個人的に感じたヤブランとノシランや蛇の髭の違いを書きましたが、サイズ感や葉の色や艶に差こそあれ、どれも長く伸びた細葉がシュッとあがって垂れ下がり茂る姿が似ているノシランやヤブランやジャノヒゲのいくつかに7月末に蕾が上がってきました。
それより前にもノシランやジャノヒゲで5~6月に既に開花したものもあるので花が開花する順番に並べて以下それぞれを紹介していきたいと思います。
ヤブランやジャノヒゲやノシランは、ある程度の乾燥にも耐え、雨などの加湿にも比較的強く、日向・日陰で育つ強健な性質で、いずれもグランドカバーや、雑木の根元を隠すためなどに使われる宿根草で、寄せ植えや切り花(切り葉)にも使われる事があります。
日陰でも日向でも育ちますが、花は陽当たりのある方がよく咲きますが、葉は半日陰の方が痛まず綺麗に育ちます。また斑入りのものは夏の日差しで葉焼けしやすいです。
暖地では常緑で冬の間も葉姿も楽しめ、実も楽しめる品種も多くあります。
基本的には半日陰から明るい日陰を好み強い日差しより柔らかな日差しの方が綺麗な葉姿と花をキープできますが、葉だけで見るとヤブランよりもノシランとジャノヒゲの方が、そして斑入り葉より緑の葉の方が日向にやや耐えます。
私の場合、品種によっては寄せ植えに使ったり、クレマチスの株元の日よけにしたり、樹木の足元に植えたり、シェードガーデンの仲間に加えたりしています。
(この記事は2019年8月1日に一度花の開花順に開花の様子をメインにまとめた記事に、その後も実や葉の様子・品種比較・管理法などを追記する過程で部分的に修正を加えているため全体の構成や文脈を通してみるとおかしいところがあるかもしれませんがご了承ください)
右下のレモンイエローの四角枠で囲まれたデザインの矢印をクリックすると目次に戻ります。記事が長いので目次に戻りたい場合などに活用願います。
画像は全て東京・神奈川・千葉など関東南部の平野部のものです。
蕾の出てくる時期や開花時期に関する記載も東京近辺での栽培時のおおよその目安時期になります。
初夏咲き( 5月末に蕾が出て来るもの )
オオバジャノヒゲ:黒竜( コクリュウ )
コクリュウはキジカクシ目キジカクシ科ジャノヒゲ属オオバジャノヒゲの一種。黒っぽい葉のコクリュウは明るい色や淡い色との対比が綺麗で実も実りやすいので、寄せ植えや地植えであちこちに使っています。
花の色もくすんだような淡い紫がシックで、葉も花も実もとても好きな宿根草です。
地下茎で殖えるので親より少しだけ離れたところから顔を出します。気になる時は春に出た新芽を親株の近くに植え直します。
花
当記事で紹介するノシラン、ヤブラン、リュウノヒゲの中ではこの黒竜が開花が一番早く6月には花が咲きます。
蕾は灰色みのアンニュイな紫で、花は少し濁った淡いピンク~パープル。目立ちませんが、この怠い花色とブラックリーフの組み合わせがさりげなく大人っぽい雰囲気で個人的に気に入っています。
基本はこのように初夏に花が沢山咲きますが、10-11月にも少しだけ花を咲かせる四季咲き性の性質を持っています。
晩夏~秋に咲く二番花はほとんど結実しません。
実
コクリュウは6月頃には花が落ちて実が成ります。関東では6月の実は緑色で、 7~10月にかけて徐々に黒くなり11月に入る頃には実全体が黒く染まります。
コクリュウの実の持ちはとってもよく、ぎっしり詰まった実が長い間綺麗な姿を保ち続けます。
うまく育てると夏から翌年の初夏頃までと長~い間、丸くぎっしり実った実姿を楽しめますが、いくつか違う場所でコクリュウを育てている観察の結果からみると、実を長く楽しむには、夏の直射日光がきつすぎない場所で育てる事と、土の表面を長い間カラカラに乾かしすぎない(強乾燥を避ける)事が大事だと思います。
もともと根が張れば乾燥にも耐えますし日向でも日陰でも育つ品種ではありますが、実を楽しむ事を優先したい場合は以下の3点に注意します。ちなみにこれはコクリュウに限らずノシラン、ジャノヒゲ(リュウノヒゲ)、ヤブラン共通ですが特に実が綺麗に残りやすいコクリュウや青い実がなるノシランは留意したいポイントです。
【実を実らせ、かつ実った実を長い間楽しむために必要な事】
【1】水やりは土の表面が乾ききる前に、もしくは土の表面が乾いてしまったらあまり間をあけずに水をあげる。
【2】西日を避けられる半日陰、南であれば夏の間直射日光を避けられるヒサシやポーチの下、もしくは明るい日陰で育てる。(日陰も日向でも育つが花・実付きの事を考えると最低限の明るさが必要で強すぎる直射日光による不測の強乾燥にも備える必要がある)
【3】肥料を適量与える(鉢栽培の場合は特に)。特に秋と早春頃にしっかり与えると良い。
コクリュウの実は他のジャノヒゲ系やノシラン、ヤブランの実に比べて落ちにくく、切り取らなければ翌年の春までずっと付いたままなので、我が家では鉢に垂らして冬の寄せ植えに使ったり、チューリップ等春の花と実の共演もばっちりな素敵な名脇役です。
本当は翌年の開花数を増やすためには実はそこそこに残して半分はカットした方がいいのですが、私は実を全部残して冬の間中楽しみ、翌年の実がなっても昨年の実も落ちるまでそのままにしています。そうすると実をつけっぱなしにした周辺は翌年花があまり咲きませんが、定期的に追肥を行うと他の場所から花がしっかり出てきます。
ちなみに我が家では日向に植え夏に強い直射日光がビシバシ当たる場所に植えたものは実のついた茎が秋までに枯れてしまい実も落ちてしまいます。軒下の初夏から夏に日陰になる場所で土も革ぎすぎない場所に植えてあるコクリュウは実が綺麗に残り1年近く実を楽しめます。
このコクリュウの実の面白いところは6個ずつ六角形のような形に放射状に広がるように実がつくところ。通常は裏側が表に見えているため一見分かりにくいのですが、普段は影になっている表側に向けてみるとこの通り↓
6個の実が対照的に広がりなかなか整った実の付き方だと思いませんか?実はこれまでこの実の付き方に気付かず2021年にこの画像をブログに載せてみて後から初めて気づきました。
実が残るよう半日陰~日陰で過乾燥に気を付けて管理をすると、秋の花苗や、春のチューリップなどと、コクリュウの黒い実の房を合わせた寄せ植えも楽しめます。
↓パンジーやヒヤシンスの手前でゴロゴロ黒い実が枝垂れているのが分かるでしょうか。
夏に西日が思い切り当たるような場所ではこんな感じに↓夏が終わる頃には実が付いた花茎も茶色く枯れ実も落ちてしまいます。夏に少し葉焼けしつつも日向でも楽しめるコクリュウですが、実を綺麗に楽しみたい場合は夏に明るい日陰~午前中の太陽が少し当たる程度の半日陰になる場所で適度な水やりで育てるのが一番です。
オオバジャノヒゲは黒竜しか持っていませんが、このコクリュウに限らずオオバジャノヒゲは実が沢山ぎっしり付くような気がします。
葉
葉は夏ごろに地下茎で広がるように新芽が現れ新しいグリーンの葉が出てきます。地下茎で増えるため母体から少し離れた場所に葉芽が出て来る事がありますがここ↓ではストッパーで鉢内を区切っているためまとまり良く増えているように見えますがたまにストッパーの下や脇をすり抜けて鉢の奥の方に新芽が出て来る事もあります。
特にヤブランの品種などで春に新芽が芽吹く前に前年の古い葉を全てカットする葉の剪定方法がありますが、コクリュウやリュウノヒゲやノシランなどのジャノヒゲ属の多くは初夏から夏にかけて新しい葉芽が出てくる事が多いため、春先に地上部をさっぱり剪定しても少しずつ新しい葉が出てきますが、本格的に新しい葉が出てくるのは初夏以降なので春に古葉をばっさり剪定すると初夏まで地上部が寂しくなります (冬も常緑の暖地の場合) 。
冬も葉が常緑のままの暖地では、コクリュウだけでなくリュウノヒゲ、ノシランなどジャノヒゲ属の葉の剪定は春に地上部を丸裸にする剪定は避け、傷んだ葉を見つけたら随時その葉だけ根元からカットする程度に留めた方が一年を通して地上部に葉が生い茂り初夏以降の新芽の芽吹きにも勢いが出る気がします。
初夏~夏咲き( 6月に蕾が出始めるもの )
斑入りヤブラン リリオぺ 「 ピンクパール 」’ pink pearl ’
管理人が栽培しているジャノヒゲ属とヤブラン属の中では、一年の一番最初に開花するコクリュウに続いて花を咲かせるのは斑入りのヤブラン「ピンクパール」。ピンクパールは投稿当初の記事に沿って葉と花を分けずに合わせて紹介します。
花と葉
6月に蕾付きの花穂が伸びてきて7月頭から咲き始めます。
東京では6月早々に蕾が出始め6月中は蕾が伸びてくる姿を楽しみます。
開花は7月に入ってから。
花の見頃は7月です。
この時期に開花するのは他にもすぐ下で紹介するタマリュウやジャノヒゲの基本種がありますが、花が葉に隠れるように低い位置で咲くため目立たず気づきにくい。でもこのピンクパールはヤブランなのでムスカリのようにスッと花茎が伸びて綺麗な開花姿で楽しませてくれます。
斑入りヤブランでは黄斑入りのものが多いですが、もう少し白い斑入りのものを求めて園芸店で このLiriope ’pink pearl ’ を購入してから3年が経っています。
葉の大きさは同じ斑入りのヤブランでも黄斑ヤブラン’ Variegata ’と比べると長さも短く一回り小ぶりですが、 大株に育てるとそれなりに見応えがあります( どのヤブランもそうですが )。
葉色はやや青みがかったブルーグリーンのベースにアイボリーホワイトの斑が入り、春から夏にかけての葉色はとても爽やかで清々しく清涼感のある葉姿です。 特に春の芽吹き後から夏までの半日陰や明るい日陰の株の痛みの少ない葉色といったら涼しげでしばし魅入ってしまうほど。同じ斑入りのヤブランでも全体的に黄味っぽく温かみを感じる葉の ’ Variegata ’ と比べると、日陰では青みがかって見える葉に白の斑が入った ’ pink pearl ’ の葉は清らかで涼しげです。
ヤブランはノシランやジャノヒゲより葉が少し繊細で特に斑入りのヤブランは暖地では夏の太陽が当たると葉焼けするので半日陰~明るい日陰で管理すると長い間綺麗な葉を楽しめます。
花は若干ラベンダーがかったような淡いピンクで、開花時期は黒竜に続いて初夏から蕾が出て夏に入ってすぐに咲き始める早咲きタイプ。黄斑ヤブランが見頃を迎える晩夏にこの初夏に咲いた1番花は散っていますが晩夏に2番花が少し上がってきます。晩夏の2番花は初夏咲きのヤブラン「ピンクパール」やオオバジャノヒゲ「黒竜(コクリュウ)」の特権です。
そんな ’ pink pearl ’ ですが、私が育てている株では実を見たことがありません。結実しにくいタイプである可能性もゼロではないですが、小道沿いに植えてあるので足で蹴って落としてしまっている事も考えら、何よりも少ない時は月に一度しか水やりができず渇きがちな場所に植えてあるせいで実が生らない可能性が高いと思っています。
水をもう少し定期的にあげて実が生る姿を一度は見てみたいのですが、どうしても水やりをする人がいない敷地に植えてあるので実を見る事は難しいかもしれません。株分けして自宅に持っていき観察したいですが、置く場所がないのでなかなか難しい。
’ pink pearl ’は同じ斑入りの葉のノシラン「ビッタータス」のような葉のねじれがないところも特徴で、地面にだらしなく(!?)垂れたりねじれたりせず、スっと放射状に葉を伸ばし、とても整った綺麗な茂り方をします。
2021年は諸要因からこの場所に夏の日中の太陽が差し込んでしまい綺麗な葉が葉焼けしてしまいました↓
ヤブランはノシランやジャノヒゲより葉が少し繊細で、特にこのピンクパールのように斑入りのヤブランは暖地では夏の太陽が当たると葉焼けするので夏に半日陰~明るい日陰になる場所で管理します。
このあと葉焼けした葉を10月にカットしました。上の画像の株の左側に見える晩夏の二番花が行方不明に、、
ヤブラン属は葉の芽吹きも旺盛なので成長期中に葉をカットすれば新しい葉が芽吹きやすいので、できれば9月半ば頃に一度夏に傷んだ葉をカットした方が沢山の新しい葉が生えてくると思います。
上の株から離れた場所に植えてあるこちらの葉焼けが若干ましな株も傷んだ葉をカットしました。
この通り↓、ちょっと寂しくなりました。
もう少し早くカットして秋のまだ温かい間に新しい葉を沢山出したかったのですがこの場所は9月の強い西日が少し差し込むので夏が過ぎて早急に傷んだ葉をカットすると再び新たな葉焼けした葉ができてしまうのであまり早くに剪定できません。これでも冬に入る前にある程度新しい葉が生えそろいます。
今回カットした葉↓
根本からカットしていない葉が多く短いので使いにくいですが、あまり傷みがひどくない葉は秋の切り花にグリーンを添える葉物としても使えます。
葉焼けした場合は秋の入りに葉焼けした葉をカットして新しい葉の芽吹きを促せば、冬はこの美しい葉が多少くたびれてくるかもしれませんが東京・神奈川・千葉では冬の間も常緑の綺麗な葉が楽しめます。暖冬の年などは特に冬の間も綺麗な葉姿を保っています。
このピンクパールの葉は同じヤブランの紫花緑葉のヤブランや白花緑葉種のモンローホワイトと同様、3~4月頃に新しい葉芽が地面から顔を出し始めた時にも忘れずに前年の葉を全て地際からカットして新しい綺麗な葉への更新の準備をします。 この時の葉も使えるものは切り花に添えたりして使います。
このピンクーパールは葉姿、葉の形、斑入りの感じいずれも綺麗で整っていますが、地下茎で殖え、親株から少し離れたところに顔を出します。これは同じヤブランでも子株が親株から離れたところに顔を出さずに親株自体が大きく広がるように成長する紫花緑葉のヤブランや白花緑葉種のモンローホワイトとは異なる殖え方で、同じように地下茎で殖えるヤブランは他にも同じ斑入り種の「シルバードラゴン」があります。
なのでRhodesの場合はこのピンクーパールは主に春に子株が出てきたら親株のそばに植え直し親株自体を縦に横にその場に合わせて大きく広げてゆくようなイメージで毎年子株を植え付け直しながら栽培しています。
こうしたささいな下草でも庭のない我が家には植えて管理するスペースが限られ、この子を植える余裕はないので、こちらは仕事先の日陰の庭に植えて管理しています。
実
2021年に実を初めて発見しました。斑入り葉の品種は実も斑入り模様である事が多いですがこの日見た限りでは一見単色に見えました。頻繁に色の移り変わりをチェックしておらずこの斑入ヤブラン「ピンクパール」が植えてある場所には月に0回~数回なので、緑色になるまでに白い斑入りの実であった可能性があります。
乾燥に気を付けて自宅で栽培できたらもう少し多くの沢山の実が確認できて斑入りの実ができる様子もじっくり見れるかもしれませんが、水やりほぼゼロの植えっぱなしの状態で実ったこの2粒をたったの一日観た限りでは斑入りの様子は分かりませんでした。でもよくよく画像を見ると少し白抜けして後から緑に染まっていった斑入部分の形跡のような跡が見えます。やっぱり葉が斑入りなので実もこの画像の前は緑×白の斑入模様だったかもしれません。
初夏の花が結実した実でこのあと緑から黒い実に変化してゆきますが適正な管理ができない場所なのでそれまで花茎が無事残っているかというところ。早めに朽ちて実も落下してしまうかもしれません。
この場所は過乾燥気味で管理しているのと水やりの水圧がきついので実が生りにくいです。
ジャノヒゲ(リュウノヒゲ/竜の髭/龍の髭)
また、早咲きの「黒龍」以外の同じキジカクシ科 ジャノヒゲ属の品種も6~7月に花が咲くものが多いです。
ただ葉に隠れるように低い位置で咲くものが多く6~7月に花が咲いていても気づきにく、良く見ると咲いている感じです。
花はジャノヒゲ属の花特有のうつむき気味の蕾がついてラッパ型の花がうつむき加減で咲きます。
玉竜 タマリュウ
タマリュウは短いジャノヒゲでホームセンターなどでもたまにジャノヒゲ、リュウノヒゲという名前で売られている事がありますが、その短い葉から違いは一目瞭然。短い割にやや幅広でしっかりした葉は外構デザインで敷石や踏み石の間を埋めるように植えられるなど、人や自転車などによる一時的な踏み込みにも耐えます。短い地下茎を伸ばして空間を埋めてゆくように増え、和庭ではグランドカバーや広く敷き詰めて芝生代わりのようなデザインとしても使われます。
日向・日陰・乾燥にもある程度強い品種ですが夏場の西日を浴び続け今日乾燥に晒されるとさすがに葉焼けが株全体に進行しますが根が生きていれば秋に再び新しい葉が出てきます。
玉竜も6月には蕾が出て薄紫色の花が咲きます。画像では白く見えますがほんのり紫色がのっています。
タマリュウの花は、タマリュウ自体が背が低いため花が咲いても見つけにくく、実も踏まれて落ちてしまう事が多そうですが、こちらもノシランと同じく鮮やかなコバルトブルーの小さな実を付けます。
株の殖え方は地下茎で殖えますがランナーが短いため株が徐々に大きく密集して育ってきます。
タマリュウも暖地では晩夏から秋の10~11月頃まで秋の二番花が咲く事があります。
ジャノヒゲ リュウノヒゲ
以下は我が家にてリュウノヒゲとして伝わってきたものです。タマリュウより細長い葉が、タマリュウと同じく地下茎で空間を埋めるように増えてゆきます。タマリュウの固い葉より少し繊細ですがタマリュウと同程度に直射日光に耐えます。
下の画像の下部にチラリと見える黒い葉はコクリュウです。
ジャノヒゲ(リュウノヒゲ)と呼ばれるものはこれ以外にも沢山あり、葉が太いもの、葉の長さも長いものなど、緑葉のジャノヒゲだけでも何種類かあります。我が家に伝わるリュウノヒゲはそのうちの一部で葉が細いタイプのものです。
花
ジャノヒゲも6月にタマリュウより長い葉をかき分けると蕾を見つけられます。タマリュウと同じ白に近い薄紫の花を咲かせます。
葉
↓ 上が我が家に伝わる細葉のジャノヒゲ(リュウノヒゲ)、下がタマリュウの葉。リュウノヒゲの葉は15~20センチ前後でタマリュウの2~3倍ほどの長さです。
↓ 同じく上が我が家に伝わるジャノヒゲ、下がタマリュウの葉。葉幅はタマリュウの方が太くジャノヒゲの1.5倍ほどになります。
↓ 上:オオバジャノヒゲ「 黒竜 ( コクリュウ ) 」、下: ジャノヒゲ
葉がくるんと曲がってしまうので押さえていますがほとんど同じ葉の長さで25~30cm善後。
葉幅はコクリュウがジャノヒゲの3倍ほどの幅です。
実
いつの間にか綺麗な青い実が実っていたジャノヒゲ↓です。
これはタマリュウより葉が長いタイプの オーソドックスなリュウノヒゲで、葉の長さはタマリュウの2-3倍の長さ、葉の太さはタマリュウとほぼ同じです。
ジャノヒゲ属の中でも性質がとても強く、日陰にも日向にも耐え、太陽にも冬の寒さにも葉が痛みにくくい。乾燥にも比較的耐えますが、水が多いほうが葉や実が綺麗に育ちます。
玉竜の実と大きさも大差なく同じ色の実が生ります。
↓2021/10/14追記:2021年、ジャノヒゲの青くなる前のグリーンの実。
これらは我が家に古くからリュウノヒゲ/ジャノヒゲとして伝わる株で、タマリュウとほぼ同じ葉の幅で葉の長さはタマリュウより長いです。全体としてはヤブランなどより葉が細長い印象ですが、昨今販売されているジャノヒゲの基本種はもう少し葉が幅広のものが多い気がします。
このジャノヒゲも地下茎で殖えますが、タマリュウの短い地下茎と同じか少し長い地下茎を伸ばしながら徐々に密集するようにスペースを埋めてゆきます。
その他緑葉のジャノヒゲ
緑の葉のジャノヒゲには他にも葉の長さが30cm以上のナガバジャノヒゲや葉幅のあるオオバジャノヒゲがあります。
リュウノヒゲ( ジャノヒゲ ) 「 白竜 」
ハクリュウは上のリュウノヒゲと同じ葉の大きさで斑入りの葉を持っています。タマリュウやリュウノヒゲと同じく短い地下茎で伸び空間を埋めてゆきグランドカバーとして使えます。
植える場所がないのでとりあえず鉢に植えました。しばらくこの鉢で様子をみるつもりです。
花
後日アップ予定です。
葉
ヤブラン属の斑入り種よりは葉が強いですが、斑入りの綺麗な葉を保ちたい場合は初夏~晩夏までの直射日光を避けれる場所での管理が望ましい品種ですがここ神奈川では半日陰程度の太陽にはさほど葉焼けせず耐えています。
上のオオバジャノヒゲ・コクリュウと我が家に伝わる緑葉のジャノヒゲとの葉の細さ比較画像↓
ジャノヒゲの斑入り種だけあって、普通の緑葉のジャノヒゲと葉幅は同じです。葉の長さも大きな違いはなさそうです。
黒い葉はオオバジャノヒゲ「コクリュウ」でこちらは一回り幅広の葉です。
白斑ヤブラン「 シルバードラゴン 」(下図左側)との比較画像↓
白斑ヤブラン「 シルバードラゴン 」と葉の太さ・長さの違いはこんな感じ。シルバードラゴンの方が葉幅も葉の長さもあります。基本的に普通のジャノヒゲやその斑入り種のこちらが葉幅はこのページに載せたノシラン・ヤブラン・ジャノヒゲの中では一番細いです。
斑入りノシラン「 ビッタータス / スノードラゴン 」 の葉幅も白斑ヤブラン「 シルバードラゴン 」と大差ないので葉の太さ・長さはこちらと似たような違いです。
実
ジャノヒゲ属なので花は葉に埋もれ気味で咲き実も葉に隠れがちですが、嬉しい斑入りの実が生りました。この後コバルトブルーに変化した様子を後日アップ予定です。ハクリュウの実はコバルトブルーなので斑入りの部分も徐々にコバルトブルーに変化して最終的に全体が青くなるものと思われます。経過観察もなかなか興味深いのでなるべく忘れないように画像に残せたらと思っています。
夏~晩夏咲き( 7/30現在花芽が上がってきているもの )
我が家にあるヤブラン(リリオぺ)「モンローホワイト 」、ノシラン「ビッタータス」 (リュウノヒゲ「 スノードラゴン 」?)、オーソドックスな大型のノシランの3種と、紫の花が咲く緑葉のオーソドックスなヤブランはほぼ同じ7月の終わりに蕾が出てきて8月~9月半ばまで開花を楽しめます。
まさに夏~晩夏の花。半日陰や明るい日陰では猛暑に負けずに綺麗な葉をキープしながら暑さに負けずになつかしいような風情のある花姿で目を楽しませてくれます。
紫花のオーソドックスなヤブラン
普通の美登里の葉に紫の花のオーソドックスなヤブランは下に載せた白花ヤブラン「モンローホワイト」とほぼ同時期の7月中ばには蕾が上がってきて花を咲かせ、7月後半から8月いっぱいに見頃を迎えます。
このヤブランは地下茎では殖えないため離れた場所に子株が顔を出す事もなく、株が徐々に大きく広がるように大株に育ちます。ジャノヒゲ属に比べると柔らかく薄い葉を持つヤブラン属の中では最も固くある程度の太陽にも耐え葉焼けしにくい強い緑の葉を持っていて、葉焼けにある程度耐えるタマリュウやリュウノヒゲと同等かそれ以上に綺麗な葉姿を保っています。
同じ環境下では下の下に載せたオーソドックスなノシラン↓ともほとんど花期は同じ。この年はわずかにこの紫のヤブランと、これまたほぼ同時期に花が咲く白いヤブラン「モンローホワイト」の方がノシランよりも先に咲きました。
下の画像↓は上の紫花のノシランの蕾と同じ日付の日向の白花×緑葉のオーソドックスなノシランです。同じエリアでも環境によって微妙に開花日はずれますが紫花緑葉のオーソドックスなヤブランとほぼ同じ時期に蕾が上がってきました。
花と葉
ややしっかりした発色の薄紫の花が咲きます。このヤブランの開花は長く、7月終わりに咲き始め9月の実が生り始める頃まで花が残っています。
蕾は淡い色ですが花が咲く頃花にはもう少し濃さが出てきます。
9月に見頃を迎える黄斑ヤブランの濃いめの紫の花に比べると少し淡い紫の花ですが太陽を浴びる度合いが多いほど結構しっかり発色し、 黄斑ヤブランの次に濃い紫色の花だと思います。
ヤブランなのでムスカリのような蕾姿。
花もヤブラン属は花茎に対してほぼ真横から若干上向きに咲き、梅の花のようにパっと開いた小花の形。ジャノヒゲ属のようなトランペット型のユリの花のような花がうつむき気味に咲く姿とは異なります。
8月後半には緑色の実ができます。ヤブラン属はジャノヒゲ属より葉がやや薄いものが多く暑い時期の直射日光にも弱いですがどちらもやはり半日陰や明るい日陰の方が実が残りやすいです。花付きは太陽にある程度当たらないと花付きは悪くなりますが暖地では梅雨以降も日向のままの場所では夏に実が痛んで落ちてしまい実が綺麗に残りません。
実
実は最初は緑ですが、この後花も全て散り実は少しずつ黒く変化してゆきます。大きくてしっかりした実が生り、葉も強く日陰・日向・乾燥にもある程度耐えヤブラン属の他の品種より強い性質を持ち同じ環境下に置いた場合一番実付きが良さそうだと思われます。
ヤブラン属だけでなくジャノヒゲ属を入れても最も大きな実と言えるかもしれない大きさの実です。
人や物に触れない場所だと実が沢山残って綺麗ですが、これだけ大きな実だと開花中はまっすぐ立っていた花茎も実の重さで傾倒してしまいます。
半分から半分以上の実が途中で落ちてしまうので発見しにくいですが、良く見るとこんな感じに4つ綺麗に並んで実っています。オオバジャノヒゲ「コクリュウ」は6個でしたがヤブランは一つの小花から4個前後の実がこのように生ります。花が房のように4個キュっとまとまってつくためこうなったのでしょうね。
このヤブランは7月に花茎が上がってきてから大きな実がみのる秋~初冬頃まだ長く楽しめ、葉もそこそこ葉焼けに耐え単純な緑葉ですが結構捨てがたい品種です。
コヤブラン、ヒメヤブラン
他にも緑葉/紫花のヤブランではコヤブランやヒメヤブランなどもある。共に普通のヤブランより葉が細く花も短く小花の数が少なく、ヤブランと違って地下茎で殖える。ヤブランより共に葉長・葉幅は小さく花茎1本あたりに付く小花も少ない。コヤブランよりヒメヤブランの方が葉が細く小花も少なくつく。
ヤブラン(リリオぺ)「 モンローホワイト 」
ヤブランの「モンローホワイト 」 にも花が上がってきました。
7/30時点で既に花茎が高く伸び開花直前なので、6月終わり頃から蕾が顔を出していたのかもしれません。
ヤブランやノシランのほとんどが花茎が上がり花が全て落ちるまでは1か月強。割と長い間花が楽しめ、モンローホワイトも同じです。この後8/31頃には花がほぼ落ちて黒っぽい実(緑色→黒色に変化)がわずかに数個成りました。
晩夏咲きのところに分類していますが、8月に入ると同時に見頃を迎えるので夏咲きタイプとも言えそうです。
花と葉
モンローホワイトも自宅以外にあちこちに植えていて、いずれも花穂をあげてきています。
下の方の画像で一緒に写っているリグラリア「 ブリットマリークロウフォード 」と共に、蕾が出てから8月一杯までの約1か月の間、蕾が育って白く清楚な花が咲く様子を楽しめます。
我が家に植えてあるものは狭い鉢なので花数が少ないですが、お庭のあるお宅に伸び伸びと植えてあげると年々花数を増やしてゆきます。大株になると数十本もの花茎が上がってきます。
モンローホワイトの整った白い蕾はとても愛らしく、ヤブランがサマームスカリと言われるのも納得です。
蕾の過密度も高く全部同時に咲いたら花がムギュっと混みあいそう。
この白花ヤブラン「モンローホワイト」も紫花緑葉のヤブランと同様、地下茎で親株から少し離れた場所に子株が出て最初はまばらに広がるように増えていくのではなく、親株自体が年々大きくなるような形で増え整った大株に育ちます。
年々こんもり茂ってくる葉に沢山の白い花が咲き、大株に育つととても綺麗です。この場所はよく強乾燥になる場所で今はまだ中株程度ですが強乾燥にならないよう気を付けて育てれば数年で大株に育つと思います。この株はよそのお宅に植えた株で毎年7月末頃から開花し始めます。
緑の葉は日陰では柔らかく開花が始まる頃はまだ綺麗な葉姿ですが↑、植栽場所の日照条件や土の乾燥状態などにもより花が終わる頃丁度夏も終わり夏の日差しに少し当たった場所が葉焼けしています↓
時期による太陽の差し込み具合にもよりますが10~12時の太陽が当たるこの場所では9月が終わる頃には葉焼けの症状がこれより更に進みました。
写メのレンズが曇って画質は悪いですが2年前は今より少し小さな株でした↓
一緒に植えた宿根草のリグラリア「ブリットマリークロウフォード」の山吹色の花と同時期に開花が楽しめます(現在は別の場所に移植)。
この↑二年後の株↓
本来ならもう少し大きく育っていてもいいのですが、移植した際冬目前で根を切ってしまい、移植後の冬にしっかり根付く事もなくそもそも放置気味で土が乾燥している状態で育っているのであまり大きく育っていないような気がします。
実
我が家のまだ小さなモンローホワイトは、狭い敷地で水やりの度に身体が実に当たってしまう場所に植えてあり、水は足りているので花茎は枯れずに残るけれどもこうした接触のせいでほとんどの実が落ちてしまいます。
実が残っても、ノシランやコクリュウのように冬の間中楽しむ事もなく花茎ごと枯れてしまいました。
紫花・緑葉のオーソドックスなヤブランの方が実付きがよい気がしますが、モンローホワイトも乾燥に気を付けて午後からの直射日光に当たらないように育てればもう少し実が長持ちするかもしれません。
↑我が家のまだ小さな株の、モンローホワイトのひと房の花茎に2つだけ残ったまん丸い形の実の、緑から黒に色づいたところ。下にスノードラゴンの斑入り葉も写り込んでいますが間違いなくモンローホワイトの実です。
冬の葉
ヤブラン(ノシランもジャノヒゲも)は、冬の間も基本暖地では常緑ですが、冬になると葉も多少傷んできています。モンローホワイトは春の新芽が顔を出した頃に古い葉を全て根本近くからカットします。
冬の葉の多少くたびれた状態がこちら↓
夏に葉焼けした葉先をカットしてあります。
日陰ですが少し太陽が差し込む時間があり、夏に太陽が当たった場所が少し葉焼けして夏の暑さと冬の寒さで葉は傷みお疲れの様子。
上の苗を3月に入り新芽が見えてきたので古葉をカットした状態がこちら↓
頭が出たばかりの新芽をカットしないよう気を付けて古葉を全て剪定しました。
ちなみにこの春先に新芽が芽吹く直前に古い葉を全てカットしてしまう剪定法ですが、先の「黒竜」やコバルトブルーの実がなるオーソドックスな「ノシラン」などは行わなくていいと思います。これは必ずしも春に新芽がまとまって出てくるわけではなく夏頃に新しい葉が出て来るものもあるため(春に古葉を全てカットしてしまうとその後しばらく葉がない裸の状態になってしまう事があるため)。同じノシランでも「 ビッタータス 」は春に新しい葉が出てくるため春先に古い葉をカットしても大丈夫ですがヤブランほど葉傷みが少ないので全ての古葉をカットせず傷みが気になる葉だけカットすると新しい葉プラス古いけど綺麗な葉が合わさって葉数が増えボリュームが出てます。
同じ緑葉のヤブランでも綺麗な紫の花を咲かせる品種もありますし、この白花のモンローホワイトも素敵ですが、鮮やかな紫の青花品種も素敵でどちらを選ぶか悩んでしまうほど。
ムスカリにも似た小さな花をギュっと濃縮させたような整った花のタワーが魅力のヤブランですが、葉も目立った特徴はないものの、 スラっと伸びた細葉はリグラリアやギボウシなど丸みを帯びた葉やシダなどのギザギザした葉と合わせると日陰の下草の植栽に良い感じに変化をもたらしてくれる名脇役です。
他のヤブランやジャノヒゲのように想像していなかった場所からぴょこんと飛び出る春の新芽を気にする必要がないところがありがたいモンローホワイト。
ただし葉が美味しいらしく、他のノシランやヤブランに比べると虫に葉を食べられ穴が空きやすいので、気になる場合は定期的に薬剤を撒くと綺麗なグリーンの葉姿をキープできます。
ヤブランの花はムスカリとは違ってツボ型でもなく、蕾ももっと丸く、下向きにも咲きませんが、まっすぐ伸びた茎に小花が沢山付く様子はよく似ていますね。
ノシラン(緑葉)、いわゆるオーソドックスなノシラン
当記事をアップする直前にノシランに花芽が出てきました。今年は7月末に蕾が確認できましたが7月後半に入ると咲き出す年もあります。
単に「ノシラン」として販売されているこのオーソドックスなノシランは他のノシランやヤブランに比べて草丈も葉幅も大きくボリュームが出ます。
地植えで木の下草にすると他の草花や樹木との調和が楽しめますが、残念ながら我が家では地植えにできないので6号鉢に植えて管理しています。
本来半日陰や明るい日陰を好むのに、炎天下で育てていて申し訳ないと思っている子。
葉は硬質で丈夫ですが、近年の夏の強い日差しによる葉焼けの影響や実付きの充実を考えると、半日陰で綺麗な葉姿をキープした方が良い子です。
6号鉢サイズの株でも定期的な追肥により毎年5本以上の花穂が上がります。
ノシランや玉竜などのリュウノヒゲは、足などをぶつけて実を落としてしまう事も多いですが、緑色の実が冬にかけて鮮やかなコバルトブルーに変化してゆくところも楽しみで、本当は仕事先で地植えにして育てたかったのですが、観察のため鉢植えにして我が家でしばらく様子を見ています。
ノシランのように大きくスっとストレートの葉のラインが伸びる葉物は、本来は鉢植えよりも落葉樹などの足元に下草として植えると素敵なのですが。
続いてノシランの実の変化。
上の画像まで続いていたスマホのカメラのボケ撮影が無事直りました。
二年後の画像ですがこれより少し前の様子↓
良く見ると花が房咲きでいくつかまとまって付く単位で本当は実が実っています。こちらは4個。
このノシランもそうですがコクリュウなどジャノヒゲ属の実はスッと立ち上がった茎に丸い実が付くヤブラン属の実とは異なり実が育ってくるにつれその重みで花茎が倒れ込み枝垂れた実生り姿になります。
ノシランの実は重くて茎で十分に支えきれず、沢山実った茎は垂れさがってきます。
我が家のノシランは駐車スペースの車の後輪が当たる場所に置いてあるので、実がタイヤに当たってかなり落ちてしまっていますが、2019年は6号の鉢から10本ほどの花茎が上がってきて、そのうち7本に実がついていますが、うまく育てればもっと沢山の実が成ると思います。
この実の画像の写メを撮った後、2月半ばに1週間近く不在にしていた時、家族に水やりを頼んだのですが、うまく伝わっていなかったようで、帰ってきたら水不足で実の茎が乾燥で白化し、大部分の実も半分以上落ちてしまいました。
家族に聞いたところ「うーん、ちらっと少しだけやった!」と目を合わさず返事をされ、水をあげてないのに一応あげたふりみたいな返答をされました。。
このページで「 強乾燥にすると実が落ちる 」、と追記したばかりで、まさか自分のヤブランが強乾燥で実が落ちてしまうとは( ノД`)
2月11日からしばらく不在にしている間、暖冬で5月並みの気候だったそうで、乾燥にはある程度強い品種ではありますが、日中は20度前後の温かい気候でギチギチの鉢栽培で、6日も水なしでは株は枯れずとも実は落ちてどこかに行ってしまいました。
~2021/9/2追記~
真夏を通して日向のまま管理するとあまり酷い場合はこんな風に実がほとんど付きません。午前中から夕方まで強い日差しに当たりっぱなしの場所に置いたため葉ヤケが酷いです↓
ちなみに上に載せたノシランの鉢を2021年3月に株分けして3分割しました。
2021年の夏は晴天が多く日中ずっと太陽が当たる場所に置いていたら強烈な夏の太陽に耐えられず花が早く枯れ落ちてしまい実は少ししか実りそうにありません。
ジャノヒゲ属の多くがそうであるように初夏から夏の間にその年の新しい葉芽が出て葉が育ってきます↓
緑の葉が新しい葉で葉焼けしている葉は主に去年の葉。傷んだ古い葉はいつでも切り戻していいですが新しい葉は春に沢山芽吹いてこないのでヤブランのように春に一度にばっさり古い葉を切らないようにします(冬も常緑の暖地の場合)。夏に激しく傷んだ古い葉を9月以降に切り戻すのが丁度よいと思います。
株分けしてよそのお宅の日陰に植えた株からも初夏から8月にかけて新しい葉がツンツン出てきています。
ここの花は夏にガンガン日が当たる場所のノシランとは違って無事です。コバルトブルーの実も無事綺麗に実ってくれる事でしょう。
斑入りノシラン「 ビッタータス / スノードラゴン 」
花
ノシラン「ビッタータス」にも小さな花芽がポツポツと上がってきました。
リュウノヒゲ「 スノードラゴン 」との違いが全く分からず流通するうちに混同してしまった同種なのではないかと思う程です。
そもそもノシランとリュウノヒゲの違いもあやふやで私から見ると葉の長さ大きさの違いに思えますが確かにこのビッタータスもスノードラゴンも少し葉が長いのでノシランと言ってもいいような気がします。
ビッタータスは地下茎で親株から離れたところに芽がでてくるような殖え方はせず、親株を中心に徐々に回りに子株が増えて株全体が大きくなっていく感じです。
似た斑入りの葉では白斑ヤブラン「シルバードラゴン」もポット苗があるので後日アップしたいと思います。ちなみにシルバードラゴンは親株から少し離れたところに子株の新芽が顔を出すタイプなのでノシラン ビッタータスやリュウノヒゲ スノードラゴンとは子株の殖え方が異なります。
お世話になっているおぎはら植物園さんの商品ページによると、ノシラン「ビッタータス」 は「 ミスカンサス 」という別名で切り葉として使われる事もあり、葉ものが欲しい時に切ってきて花瓶の花に加えたりもするそうです。なるほど。くるくるカールした長い葉が沢山出てくるので私も切り花アレンジに使いたいと思います。
ミスカンサスだけでなくミスキャンタスと呼ばれる事もあるようです。
8月終わり~9月にかけてが花の見ごろです。ヤブラン属の花のように葉の中からスッと立ち上がって見えやすい長い花穂が上がってくるのではなく、少し葉に埋もれ気味ですが葉の間からチラホラ白い花穂が見えます。
長い花穂は葉から上に大きく出る事がなくどちらかというと葉の間で咲きます。全体が見えるよう葉をかき分けて写メを写していますが、かき分けなくても見えます。
緑葉のノシランやヤブランの花は茎を伸ばして花茎のおおまかに見て上半分くらいに花がつき葉の上の高さで咲くのでよく目立ちますが、ビッタータスの花は花の下の茎部分が短くその分花の咲く位置が下になるうえヤブランのように花茎がスっと立たず斜めに倒れて咲くため自らの葉にまぎれながら咲く感じになります。
タマリュウやジャノヒゲも似たような咲き方をします。葉の中で花が咲きがちでヤブランに比べると花に気付きにくいです。
ちなみに花の中はこんな感じです。
葉
葉はヤブラン属に比べて長く、緑葉のノシランと同じくらい。狭いスペースには向きません。どちらかというと少しゆとりのあるスペース向け。参考画像など後日アップ予定です。
実
実は斑入りです。最初は緑×白の斑入りで、のちに白い部分が紫色に色付いてゆき、緑の部分は濃い紫色に変化し、最終的には全体が茄子の色のような濃い紫色になります。
上のオーソドックスなノシランや、下のオーソドックスな斑入りノシランは鮮やかなコバルトブルーの実になりますが、こちらは濃い紫寄りのコバルトブルーの実になります。
斑入りノシラン(緑葉のノシランの斑入タイプ)、いわゆるオーソドックスなノシランの斑入りタイプ
上の上で挙げたオーソドックスな緑葉のノシランの斑入りタイプもあります。実はこの子、親の実家で結構沢山増えていたもので、斑入りのノシランはおそらく何種も存在しているのではないかと思われる中、日本ではビッタータスしか見かけない気がしていたのですが、こんな身近なところにビッタータス以外の斑入ノシランがありました。
こちらは葉も花も実も緑葉のノシランと一見見たところほぼ同じサイズ・形状・色で、葉と実の斑入り模様の有無の違いだけになります。ビッタータスと違った実の色も同じ斑入りのノシランでもこう違うのかと感じ入るものがあります。ビッタータスだけが同じノシランでも少し遺伝的に距離があるような気がします。
葉
同じ斑入りのノシランでもビッタータスと葉の茂り方が少し違って、ビッタータスは長い葉が少しクルクルねじれる様子が見られますが、こちらはオーソドックスな緑葉のノシランと同様に同じ方向に枝垂れた長い葉がたなびくように茂り涼し気で自然な風情を感じる草姿。
初夏に出てくる新しい葉にしっかり斑が入り徐々に斑入り模様は消えてゆきますが日陰では最終的に全体が緑になる感じではなく半分今年の新葉の斑入りで半分が去年の古い緑葉、という感じで一年を過ごします。それに対して日向では斑入りの新芽が少し早く緑の葉に変化し全体的に緑が多く一部の若い葉が斑入り模様を留めている雰囲気になります。また追って画像を載せます。
花
緑葉のオーソドックスなノシランとほとんど同じ姿・見た目の花が咲きます。また追って画像を載せる予定です。
実
最初は緑×白の斑入り模様の実は最終的には緑葉のオーソドックスなノシランと同様に鮮やかなコバルトブルーになります。また追って画像を載せる予定です。
晩夏~秋咲き
上の「夏~晩夏咲き」に挙げた中でも長く花を楽しめる品種があるため開花時期が少し重なるものもありますが、晩夏から咲き出すもので秋まで花が楽しめるものを載せます。
白斑ヤブラン「 シルバードラゴン 」
2020年の春に購入以来ずっとポットのまま置いていて大きくは育っていないシルバードラゴンにも花芽が上がってきました。
今はこの場所でポットの底を貫通した根が下の土に入り込んで育ってしまっていますが、秋に涼しくなってから根をブチブチ切りながらこの場所から外してどこかに植えようと思っています。
老眼で地面にかがんで小さな蕾にピントが合っているんだかいないんだか分からないまま薄暗い中写メを撮ってやっぱりぼやけています。
花
その後花が咲いて何とか無事に写メに収める事ができました。蕾が出て間もないころは白に近い色でしたがその後色が少しずつ出てきて淡いラベンダーカラーのやさしい色合いの花が咲きました。ヤブラン特有の横向き~やや上向きの小花の集合体の花茎がよく伸び9月いっぱい楽しめます。
葉
鉢上げしてから別の斑入り種との比較など後日アップ予定
実
秋を迎え水やりを怠りがちでしたが実も何とか少し付きました。
これからもう少し実が膨らんでくると思われます。過乾燥に気を付けて肥料もちゃんと与えると実がもっと残ったかもしれません。
もっと気を付けて管理して沢山の実を楽しみたいです。
ヤブラン属特有の丸みをおびた綺麗な実です。この後、白い部分に紫色が入ってきて全体的に少しずつ黒に近い変色してゆくのかなと思いますが、その様子もなるべく画像に残してこちらにアップできたらなと思っています。
2021年は小さなポットのままで花も1本しか出ておらず実付きもいまいちですが、次の春先頃までに一回り大きな鉢に植え付け乾燥に気を付けて管理し2年後くらいには綺麗な実付きを目指したいと思っています。今回はポットを貫通して地面に根付いた根を沢山切ってから鉢に植え付ける予定なので2022年はあまり沢山花茎が上がってこない可能性があります。
他の斑入り種との比較
葉の長さ
「 ピンクパール 」<「シルバードラゴン」<「ビッタータス/スノードラゴン」
葉焼けしやすさ
「ビッタータス/スノードラゴン」< 「シルバードラゴン」<「 ピンクパール 」
殖え方
株自体が大きくなる→ 「ビッタータス/スノードラゴン」
地下茎で殖える→ 「 ピンクパール 」「シルバードラゴン」
実生りの良さ
「ビッタータス/スノードラゴン」<「 ピンクパール 」<「シルバードラゴン」
下に長々書いてしまいましたが、追って比較画像などを載せてまとめ直したいと思っています。
ヤブラン「ピンクパール」との違い
ちなみに上に挙げた同じヤブラン「ピンクパール」とこのヤブラン「シルバードラゴン」は同じ白斑のヤブランで葉も花もよく似ていますが、葉がピンクパールの方がやや幅広で葉のグリーンが少し明るいグリーン、葉の斑の色もピンクパールの方はクリームでシルバードラゴンは白に近い色です。そのため株全体の葉姿の印象は同じ白斑でも少し違って見えます。
花は同じヤブランなので形は同じで色も共に薄紫色でよく似ています。同じ薄紫色の花でもピンクパールの花の方が少し温かみを感じるような薄紫色↓でこちらのシルバードラゴンの花はピンク寄りの薄紫・薄いラベンダーカラー↑です。
このように花も葉も良く似たシルバードラゴンとピンクパールで、ピンクパールは初夏咲(蕾姿6月/花7月)きでシルバードラゴンは秋咲き(蕾姿8月/花9月)の白斑ヤブランです。この2種は殖え方も同じでどちらも地下茎で殖え、親株から少しだけ離れたところに子株を出して増えてゆきます。
実はシルバードラゴンはできたばかりの実は斑入りの実(緑×白→黒一色)で、ピンクーパールは現時点では最初から単色の実(緑→黒に変化)です。ヤブラン属なのでどちらも最初は緑色の部分が黒に変化してゆきます。
ノシラン「ビッタータス」との違い
葉だけ見ると一つ上にあげた同じ斑入り葉のノシラン「ビッタータス」と一見見分けがつきにくいくらい色や葉の細さ・伸び具合など似ています。葉の長さはノシラン「ビッタータス」の方がヤブラン「シルバードラゴン」長いですが、同じ白斑ヤブランの「ピンクパール」の葉よりノシラン「ビッタータス」の葉によく似ています。
花はノシランとヤブランなのでそれぞれ特有の蕾・花の形をしていて似ていませんし花色も異なります。どちらも9月に花が咲いていて開花時期が少し重なりますがノシラン「ビッタータス」の方が一足早く咲いて一足早く花期を終えます。
良く似ている葉ですがノシラン「ビッタータス」は夏のちょっとした日差しに少し葉焼けしつつある程度耐えています。 ヤブラン「シルバードラゴン」 は暖地の夏の日差しにおそらく葉焼けしてしまうのではないかと思っていますが日陰に置いているためシルバードラゴンの葉の太陽の耐性度は未確認です。
ノシラン「ビッタータス」とヤブラン「シルバードラゴン」の明らかな違いは花の形状と株の広がり方です。ヤブラン「 シルバードラゴン 」は地下茎で増え少し離れたところからぴょんぴょん新芽を出して広がりますが、ノシラン「ビッタータス」の株は株自体が徐々に大きくなってゆくようにまとまった姿で育ってゆきます。
他にも葉の大きさ(長さ)などに違いはあるかもしれませんが、シルバードラゴンがもう少し充実株に育ってから比較したいと思います。
黄斑ヤブラン ‘ Variegata ’
花と葉
(スマホのカメラレンズの裏に気泡のようなものが全体的に入り込んでいて画質が悪くなっています。解決まで低画質のまま失礼します)
8月半ば頃から蕾が出てきて9月頭には綺麗な花穂が伸び、丁度彼岸花が見頃を迎える9月半ばすぎから10月頭頃に綺麗な紫色の花が満開を迎える黄斑ヤブラン。
ノシラン(一番上)の次くらいに大きく、日向に植えてあって葉が痛んでいるものも街中で見かけますが、人が踏み込まない半日陰で管理すると比較的綺麗な葉姿のまま満開を迎えます。
我が家には植える場所がないので植える事はできませんが、お庭があったら人が通らず踏み入らない場所に植えたいと思ってしまう程、大株になると立派な開花姿です。
こんなに綺麗に咲いているのにレンズの間が靄がかりぼやけた画像になってしまって残念。
しばらくレンズの不調に気づかないまま写メ撮影を半月以上続けていました。
おかげで晩夏から秋の植物の画像が台無しです。
この株は斑入り葉の斑があまり黄色味が強くないように見えますが、黄斑ヤブランは新しく出たばかりの葉の斑の方が黄味が強く出て徐々にクリーム色になってゆきます。
その後、植物を管理しているお宅に植えた黄斑ヤブランの花が咲きました↓
黄斑ヤブランは場所によって花の色が変わりますがここは日陰なので淡い色味なのでしょうか。
まだやや小ぶりの株なので少しずつ大きく育ってくれるよう見守ります。黄斑ヤブランは8月に蕾が出てきて9月に花の見頃を迎えます。
ちょっと混植具合がゴミゴミしすぎているので追って整えなおす予定ですが、この画像↓で見ても新しく出て来た葉は斑の色が黄味が強く、前からある葉はクリーム色の斑入り葉になっているのが分かります。
花色はヤブラン属・ジャノヒゲ属の中で最も濃い紫ですが、株による違いか日照他諸条件による違いか咲く時期・気温の違いかは分かりませんが個体差があります。
この上の画像の黄斑ヤブラン↑の花色は少し薄くて赤紫の花茎も先端に行くにつれ薄く白っぽくなってしまっています。紫の花色にアントシアニンが関係しているとしたら、リン欠乏やマンガン・亜鉛の過剰、寒さなどがあると出て来るそうです。気候のせいだとしたら開花が少し早いため花色が淡くなりがちなのかもしれません。
この下の画像のヤブラン↓などは10月に入ってからの開花で花色も濃いですよね。
これくらい濃いと黄色い花芯とのコントラストも素敵です。
黄斑ヤブランは少し木漏れ日を浴びる程度の半日陰や明るい日陰の花と葉が一番綺麗だと思います。濃い花色で咲く花茎は上まで花茎の色がしっかりした赤紫色をしていて、若干薄い花は花茎の上の方の色が薄く白っぽいのですが、そうなる条件が分かったらいいのですが。
先日、グリーンギャラリーガーデンズさんに行った時、割と濃く見える黄斑ヤブランを見かけたのでよそのお宅に植えて管理はしているもののRhodesの家にはないので自宅用に一株買おうと思ったのですがまだお店を見て回りたかったのでそのまま置いておき会計前に戻ってきたら無くなっていました。籠に入れて歩くと花が落ちそうだったのでそのままにして後で取に戻ろうと思ったのが仇に(*_*;
特に開花中や開花はじめの花苗は実店舗で見て買うに限りますが、気になった苗はそっと籠に入れてキープしないと駄目ですね。
艶のある蕾も可愛いです。
実
実は付きにくいと言われているようです。私も見た事はありません。
番外編: ジャノヒゲ ノシラン ヤブラン に 似ている植物
キチジョウソウ
キチジョウソウも一見ヤブランに間違えそうな草姿をしていますが、ヤブランでもノシランでもリュウノヒゲでもありません。キジカクシ目/キジカクシ科/スズラン亜科/キチジョウソウ属でどちらかというと見た感じでは柔らかな葉と横~上向きの花といった様子はヤブランの方に近い雰囲気ですがヤブランとは違って花の背丈が短く葉に隠れてしまう長さでこの点ではノシランやジャノヒゲにも似ています。花の画像しかないので全体の草姿の画像はまた後日アップします。
キチジョウソウの開花は秋、10~11月頃。赤い茎にほんのり赤紫がかった白い可愛らしい花を晩秋に咲かせます。
カレックスなどのグラス類
下から、黄斑ヤブラン→カレックスの多分エバーゴールド? → ハランの3種混植の街中の植え込み。
品種にもよりますがカレックスの葉はジャノヒゲほどと細く、葉長は長いです。
実は黄斑ヤブランの下に普通の緑葉のヤブランも植えられているようです。
ベアグラス、カレックスの葉は斑入りのヤブランやノシランに似て見えます。
オリヅルラン
オリヅルランなども同じく斑入りのヤブランに似て見える場合があります。
他にも、慣れている人にはすぐに見わけはつきますが、イトススキなどの生え始めの頃など多くのグラス類がジャノヒゲやノシラン、ヤブランと間違える事があります。
セキショウ
画像は今のところありませんが、セキショウの常緑葉も細長くヤブランやノシランとよく間違えられる植物です。追って画像など撮れたら載せたいと思っています。
春蘭 ( シュンラン )
画像が見つからないのですが、春蘭も細長い硬質の葉で暖地では常緑で育つため葉姿はヤブランやノシランやオオバジャノヒゲ系の葉と間違われる事があるようです。以前育てていた株の画像が出てきたらこちらにもアップしたいと思います。
ニューサイラン、コルジリネの苗
ニューサイランやコルジリネの、特に生え始めたばかりの葉や幼苗、また小型の品種などもジャノヒゲ・ノシラン ・ ヤブランと見分けがつきにくい場合があります。慣れていると分かりますが、あまり詳しくない人が見ると何が何だか分からない事もあると思います。
この状態で植えられていると園芸に馴染みのない人には黄斑ヤブランとのちがいが分かりにくいかもしれない小型ニューサイランの苗。
一見間違える訳ないと思えるコルジリネも葉色や品種によって、苗の場合は特にグラス類と酷似していて、ヤブランやノシランとも違いが分からない事もあるかもしれません。
基本的な管理方法
日照・水やり・病害虫
日照
ジャノヒゲ属(ノシラン、ジャノヒゲ/リュウノヒゲ)・ヤブラン属(ヤブラン全体)はどちらも日向~日陰まで幅広く植栽できますが、葉を美しく保つためには暖地では半日陰~明るい日陰で管理するのが最も無難で、葉が強い品種が多いジャノヒゲ属の方がヤブラン属に比べてやや日向に耐性がある(葉焼けが少ない)傾向があります。
ジャノヒゲ属の多くは葉の性質が強くヤブラン属に比べるとやや厚手で太陽に耐性があるものが多く、ヤブラン属の葉は柔らかい品種が多くヤブラン属に比べて繊細な葉をしています。ジャノヒゲ属もヤブラン属も共に暖地の夏の太陽にある程度は耐えるものの夏にお昼以降の西日など強い日差しが当たる場所では葉が焼けて汚くなってしまう事があります。日向でも日陰でも元気に育ちますが、ジャノヒゲ属もヤブラン属も共に葉の美観を保つためには暖地では初夏から夏の日中の直射日光を避けて育てます。
また植物全般に言える事ですが、斑入りの品種は初夏から夏の日差しで葉焼けしやすく、特にヤブランの斑入り種は顕著に葉焼けする品種が多いです。
半日陰や明るい日陰で管理した方が葉が綺麗な状態で長く楽しめ実も落ちにくい一方、春にしっかり太陽に当てると花芽が増えその分実も実ります。ただし開花中から開花後に夏の強い日差しに当てると実は早くに落ちてしまう事も。
そしてジャノヒゲ属もヤブラン属も共に地植えの場合は根が張れば乾燥にも割と耐えるため放置気味でも育ちますが、葉や花をなるべく綺麗に保ちたければ暖地では夏の強い日差しを避けられて強乾燥を避けられる場所でかつ水やりをしやすい場所を選びんで植え付けます。
これらの事から花・実付きの良さなどをそれぞれの特徴で判断して希望の条件にあった日照環境を選んで植え付けます。
ジャノヒゲ属もヤブラン属も他の植物と同様、それまで日陰で管理していた株を初夏から夏の暑い時期にいきなり日向に移動させると葉が焼けたり株が弱る事がありますが、涼しい時期から株を太陽にしっかりあてて少しずつ日向に慣れさせると夏の太陽にもある程度耐える葉に育ちます。
水やり
水やりは ジャノヒゲ属・ヤブラン属 いずれも根が張れば乾燥に耐えますが、花や葉をより綺麗に保ちたい場合は強乾燥を避け、水やりが可能ならやや過湿気味に育てます。
根がしっかり張れば地植えの場合放任でもある程度育ちますが日向の強乾燥の痩せ地などでは葉が綺麗に保てなくなり徐々に痩せて行ってしまう事も。株を元気に保ちたい場合は強乾燥にならないよう様子を見て水を与えます。
肥料
地植えの場合は特に肥料は必要ありませんが植え付け時に緩効性固形肥料を適量土に混ぜ込みます。絶対ではありませんがより株を充実させ開花率も考慮したい場合は春と花後に液肥を与え、緩効性固形肥料を毎年または数年に一度適量を株元の土に適量埋め込みます。
鉢植えの場合も植え付け時に緩効性固形肥料を土に混ぜ、毎年春と花後に液肥を適量与えます。鉢植えでは数年に一度株が込み合ってきた時に植え替えますがその時にも緩効性固形肥料を追肥します。
害虫
害虫はあまり付きませんがジャノヒゲ属・ヤブラン属共にサビヒョウタンゾウムシに葉をかじられる事があります。特に柔らかく新しい葉のヤブランが食害に遭いやすいように思います。
まだ薬剤で対応した事はないのですが、今後オルトラン水和剤やスミチオン乳剤などを散布して様子を見てゆきたいと思っています。
↓ サビヒョウタンゾウムシ に食べられた黄斑ヤブランの葉。このようなかじられた痕が葉に残ります。
たまに街中の植え込みで日向に使われた黄斑ヤブランによく見られますが上の画像の黄斑ヤブランも葉焼けしています。
葉の剪定管理
ヤブラン属
多くのヤブランは春に新しい葉が一斉に出てくるため、春に新しい葉芽の頭が出て来たら新葉が伸びる前に前年までの葉を根本近くから切ります。
これは新しい葉がのび切ってしまうと古い葉と混ざってしまい古葉を切りにくくなってしまうため。新しい葉が生えそろってきてから古い葉を切ると、新しい葉をかき分けての作業になり手間がかかります。新しい葉が出てきて直立してまとまっている間に(垂れ下がり昨年の葉と混ざらないうちに)古い葉を地際近くからカットします。
これを忘れると上に挙げた一部の画像のように、初夏以降前年の古い葉が枯れたものが茶色く残って見苦しくなります。ただし早く切りすぎると一時期葉がなく寂しい時期が出てくるので、切るタイミングが分からない場合は最初の年は切らずにそのまま様子を見てもいいと思いますが大体栽培エリアの桜の開花宣言頃に新芽が出ていたら古い葉を切るといいかと思います。
またヤブランは芽吹きが強いので成長期の春~夏にかけて傷んだ葉が出たら思い切ってばっさり剪定してしまっても割とすぐに新しい葉が芽吹いてくるという情報もありますが、何となく怖くて春先以外の強剪定をした事はありません。
ジャノヒゲ属(ノシラン、ジャノヒゲ/リュウノヒゲ)
ジャノヒゲ(リュウノヒゲ)系やノシラン系の多くは葉がヤブランに比べると強く古葉の景観も長持ちします。そして春に新しい葉が一気に大量に出てこず春から秋にかけて時間をかけながら少しずつ、主に初夏から晩夏に新しい葉が沢山出て来る品種が多いです。
このタイプのタマリュウ、オオバジャノヒゲ、ノシラン他ジャノヒゲ属は、ヤブランのように春に新しい葉が出てくる頃に全ての古葉を一度に切らず、様子を見ながら葉焼けや劣化が出てきて見苦しく感じる葉があればその葉だけ根本からカットし春~初夏にかけて葉をなるべく残す事により景観も保て葉が残る事で光合成ができるため花付きも良くなります。
夏の日差しや冬の寒さで葉が多少痛む事もあるので、そんなジャノヒゲ属の傷んだ葉を春先にばっさり全て剪定してみた事もありますが、剪定するとしないより新しい葉が早く出てくるものの、ヤブランのように春に一斉に沢山の葉が出て来る事もなく春から夏にかけてゆっくり少しずつ葉が展開してきたため地上部が少し寂しい時期が続きました。
実を生らせ、綺麗に保ち長く楽しむために必要なこと
コクリュウのところにも簡単に書きましたが、実を長く綺麗な状態で楽しむためには一定の条件が必要です。
まず、実を綺麗に生らすためには、まず花を咲かせる事が必須です。
明るい日陰でも花は咲きますが、少し太陽が当たる半日陰くらいの場所の方が花数が多くなります。
ただし、梅雨入りから夏の間に直射日光が当たる場所だと花が咲いてもその後強い日差しで乾燥が進むと花茎が干からびてしまう事があるので、できれば夏の強光を避けられる場所に植え付けます。
そして肥料を適量与えた方が花付きも良くなります。秋にお礼肥、初春に花の準備のために、の年に2回は少なくとも与えます。鉢栽培の場合は元肥以外にも、真夏と真冬を除きひと月に一度、液肥を適量薄めたものを与えます。
(ただし斑入り葉の品種は肥料の量によって斑が入りにくくなってしまうものもあるので、多肥に気を付けて様子を見ながら与えます)
また、元気に育っているのに実が生ってもなぜかすぐ消えてしまう、花が咲いても実が生らない場合の原因の多くは、物理的に何かが当たって花や実が落ちる(足など)事以外に、強乾燥が原因である事が多いです。
ヤブラン、ノシラン、リュウノヒゲは、比較的乾燥などの環境に強く地植えではある程度育ちしっかり根付けば放任してもあまり枯れる事はないものの、あまり過酷な環境では実が育ちません。
地植えの場合は根が張れば比較的乾燥にも耐える品種が多く、性質の強いノシラン、ジャノヒゲ、ヤブランですが、乾燥が続くと花や実は枯れ落ちます。
あまり水やりができない場合や、日光が強く当たる等で土が頻繁に干上がる場所では、実が大きくなる前に落ちたり干上がって消えてしまうケースが見られます。土の表面が頻繁に乾きあがってしまうような場所では花は咲いても実が生る前に花茎ごと干からびて枯れてしまい綺麗に実付かせる事は難しく、実が無事育っても早くに枯れて落ちてしまいのは難しいです。
土が完全に乾く前に水をあげる、または常に土がやや湿り気味(加湿ではない)くらいの方が実が綺麗に育ちます。少なくとも土の表面が乾ききってしまったらなるべく間をあけずに水をあげるようにします。
そして当然の事ながら、人の足や車などが当たる場所に植えると、物理的に花や実が落ちてしまうので実は生りません。
また、実が生りやすい品種、実が生ってかつ比較的落ちにくい品種もあるので、実を楽しみたい場合は事前に調べてから入手すると良いと思います。
個人的には、コクリュウとオーソドックスなノシランがやはり実付きが良いように思いますが夏の強烈な太陽が当たる場所では実が落ちてしまう事が多いです。
ジャノヒゲ属(ノシラン・ジャノヒゲ/リュウノヒゲ)とヤブラン属の違い(2019/11/29)
「ヤブラン ノシラン 違い」というワードで検索してこのページに来られる方がいるので、学術的な事はさておき、自分なりに違いはなんなのか少し考えてみました。
ジャノヒゲとノシランは共にキジカクシ科ジャノヒゲ属、ヤブランはキジカクシ科ヤブラン属です。
あくまで私が見たことのあるノシランやジャノヒゲと、ヤブランでは、花(と実)の形とその付き方に違いがある事が目立つ特徴だと思いますが、それ以外にも葉の強さ(固さや厚みなど)にも特徴があるような気がします。
花
ヤブランがサマームスカリと呼ばれる通り花はムスカリの花にとても良く似ていて丸い蕾から綺麗に開いた小花が花茎に対して真横か少し上向きに咲くのに対し、ノシランやジャノヒゲの花は細長い蕾から完全に開ききらないラッパ型のような下垂花が花茎に対して下向きに咲きます。
【 ジャノヒゲ属:ジャノヒゲ、ノシランの花 】
【 ヤブラン属:ヤブラン(リリオぺ)の花 】
↑こう見ると花や蕾の成り方や形が違う事が分かるでしょうか。
ノシラン含めジャノヒゲ系の花はしずく型ややや先端が尖ったような形の蕾が花茎に対して少し下に垂れ下がるように沢山ついて百合のようなややラッパ型の小さい花が咲き長い花茎は斜めに風に流れるように流れます。
一方、ヤブランの花は球体に近い蕾がややひらべったく断面で見ると梅の花に近いようにやや平べったく咲き、スっと伸びた茎に垂れる事なく横向き~やや上向きで咲く小花の集合体は遠目で見るとムスカリ(ムスカリの花は垂れるが)やエレムルスのミニバージョンのよう。比較的整った花のタワーになり花茎もさほど倒れる事なく直立気味です。
実
NHKの趣味のネットでの解説に、実の色が違う(ジャノヒゲは青紫の実がなり、ヤブランは黒い実がなる)という事に軽く触れていましたが、確かにジャノヒゲとノシランの多くはコバルトブルーの綺麗な青い実(正確には緑から青に変化)をつけ、ヤブランは黒い実(正確には緑から黒に変化) をつける品種が多いと思います。ただしオオバジャノヒゲ黒竜の実はコバルトブルーではなく黒色になります。
ちなみにどの品種も最初は緑色で徐々にそれぞれの実の最終的な色へと変化します。また斑入り種の実は斑入りの実になる事もあります。
実の形はヤブラン属は球体に近い実で、ジャノヒゲ属は長球やしずく型または先端が少し尖ったラグビーボールのような形などの変形球体状の実や、ヤブランの実のように丸い球体に近い形の実など品種によっても様々な形の実ができます。
またジャノヒゲ属のコバルトブルーの実は床に投げるとスーパーボールのようにはじけます。あまり遅いと萎れてきますが、青くなってからしばらくの間までは弾力のある実で青い皮をめくると半透明の白くて弾力のある中身が出てきます。
ジャノヒゲ属の実
オオバジャノヒゲ「黒竜(コクリュウ)」の実 ↓
この実の付き方といったら、通常人が見る時この表がひっくり返って特別規則的に付いているようには見えないのですが、中心から雫型の実が6個、または4個ずつ放射状に広がるように付いていてよく見ると花火型の実のグループがいくつも重なり合って付いているようで素敵なんです。
白花・緑葉のオーソドックスなノシランの実 ↓
形は花房により異なる。
リュウノヒゲの実 ↓
ヤブラン属の実
紫花・緑葉のオーソドックスなヤブランの実。
ヤブラン属の実はいずれも最初はグリーンで徐々に黒に変化します。
スノーホワイトの実 ↓
殖え方
地下茎で離れたところから芽を出したり、親株の回りに親株が大きく広がるように密集して殖えていったりなど、殖え方の違いや、葉や根の特徴等もヤブランだからこうでノシランだからこうだという違いはなく品種によって様々です。
葉
葉についても若干ヤブラン属の方が薄く柔らかい気がします。ただヤブラン属VSジャノヒゲ属(ノシランやジャノヒゲ/リュウノヒゲ)の異なる特徴の一つ、という訳ではなくあくまで育てているヤブラン、ノシラン、ジャノヒゲを見て感じた事になります。
ヤブランと比べてノシランとジャノヒゲの方が葉が固く強い品種が多く日向にも耐性がある傾向があり、ヤブランは葉が柔らかい品種が多く夏の日差しを浴びると葉焼けが目立つ品種がノシランやジャノヒゲより多い傾向があります。ノシランとジャノヒゲの葉は、夏に日陰からいきなり日向に出しても葉焼けしない程ではありませんが、日差しが柔らかい春からずっと日向に慣らしておくと夏に多少葉焼けするもののヤブランの葉より葉焼けが少ないです。
ノシランとジャノヒゲ(リュウノヒゲ)の違い
同じジャノヒゲ属の中でもノシランとジャノヒゲの違いとなるとどちらも同属(キジカクシ科ジャノヒゲ属)で花の形もどちらも下向きですし区別がつきにくいです。あえて言うとノシランの方が(特に葉が)大型、という定義だと思っていればいいのでしょうか。
うちにある品種で見ると、丁度ノシラン「ビッタータス」とオオバジャノヒゲが近い葉幅・葉長でこの2種の間くらいの葉のサイズでノシランとジャノヒゲに線引きされていると思っていてもいいのかな?と何となく思っています。
葉がビッタータス以上の大きさ→ノシラン
葉がビッタータス未満の大きさ→ジャノヒゲ(リュウノヒゲ)
…と仮に定義してみるとしっくりくるでしょうか。
ノシランと呼ばれる品種の方がジャノヒゲより葉が大きい、または微妙に大きい、という印象がありますが、専門的な分類の定義が分かりません。(ここでの葉が大きいとは葉の長さと幅の事です)
詳しい方がいましたら教えて頂きたいです。
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