(この記事は2019年6月21日に書いた5種類のピカケの記事に、随時ピカケの育て方などの編集を加えていく予定です)
マツリカはジャスミンティーの香り付けに使われる強い芳香性の花を咲かせる、耐暑性は強く耐寒性の弱い南国育ちの植物ですが、関東では5月頃から9月一杯まで元気に咲き続けます。
中でも6月半ばの梅雨入り頃から8月は開花のピークである程度成熟した株は100個以上の蕾をつけ、毎日沢山花を咲かせます。
(あくまでピークの開花の時期で秋冬も室内管理の環境次第では小ぶりな花を咲かせる事があります)
茉莉花が好きすぎて今から丁度10年前から大鉢で何本もベランダで(秋冬は室内で)育ててきました。開けた窓から風に乗ってリビングに入ってくる夕刻から夜間にかけての強い芳香を楽しんだり、大量に咲く花でジャスミンティーを作ったりしながら成長を見守り栽培し続けてきました。
あまりに好きすぎて8号鉢×15鉢以上にもなってしまい、狭い我が家では他の植物が置けなくなるので今は5鉢に減らしました。
そんなこんなで集めている内に、現在手元に5種のマツリカが残っているので、それぞれの特徴を記録しておきます。
(以下、「牡丹咲きマツリカ( 万重咲き )」、「八重マツリカ( 千重咲き )」、「 ミニ八重マツリカ 」、「一重マツリカ 大」、「一重マツリカ」は、私が5種を区別する為に分かりやすくつけた名前で品種名ではありません)
まず最初に、マツリカとは
〔5種類のマツリカをご紹介する前に、少しマツリカについてお話しします。少し長くなるので読みたくない方はページ上部の目次リンクで飛ばして読みたい箇所をクリック願います。画面右下のクリームイエローの四角い矢印ボックスをクリックすると目次まで飛ぶことができます〕
茉莉花はモクセイ科ソケイ属のいわゆるジャスミンの一種で、アラビアンジャスミン、ジャスミンサンバック、ハワイアンレイフラワー、ピカケとも呼ばれます。
ジャスミンティーやさんぴん茶の香りづけに使われる香り高いお花で、他にもハワイのレイに使われたり、香りがジャスミンサンバックの名で精油になるのがこのマツリカの花です。
タイではよくこの花を連ねた花輪が仏様にお供えされていたり車のバックミラーにお守りとして花輪がかけられていたりします。
南国の植物なので太陽と高温が大好きな常緑の低木で、耐寒性がないため、関東では11月から4月までは室内の明るい場所で緑の葉を付けたまま管理し、5月に入り暖かくなってくる頃には屋外の日当たりの良い場所に出し初夏から真夏の強い日差しにガンガン当てて秋口までたっぷり太陽に当てて管理します。
ツル性と書かれてあるラベルやネットの記事をたまにみかけますが、枝を見るとしっかり自立しツル性…という感じには見えないので(一重タイプのマツリカの枝は伸びがいいのでトレリス等にツルのように誘引できなくもないですが)、我が家ではツル性ではない普通の植物として育てています。
枝の伸びは良いのですが、枝を伸ばしすぎると葉も多くなり鉢植えでは夏場の水の消費が激しく水遣りが大変になるため剪定で株の高さを調整して鉢にこんもり茂って花を沢山付けさせるようにしています。
春から秋まで咲く、と書きましたが、実際にはこの間中ずっと咲きっぱなしではなく、春に伸びた枝先に蕾がついてそれが次々に開き、全て咲き終わってから再び新しい枝が伸びてその枝先に蕾が再び沢山付いてそれらが次々に咲く、という開花サイクルを初夏から晩夏までの間繰り返します。
一通り開花が終わってから次の開花まで、時期にもよりますがおおよそ3~5週間です。初夏から初秋にかけて月に一度は沢山の蕾が花開き、この開花時は1週間ほど次々と蕾が開いて毎日開花します。
蕾は日没頃に開花し( 季節や天候によって開花時間は異なり、秋は開花時間は遅くなる)、夕方から夜間にかけて強い芳香を放ちます。夕方に開花する時が最も強い芳香を放つため、ジャスミンティーの香り付けに使う花はこの開花直前の夕刻の蕾を摘み取ったものを使います。
開花後ひと晩かけて強い香りを放ち続け、翌朝には香りは半減してしまい、昼ごろには一重は花が落ち、八重タイプは樹上で紫がかって次第に枯れてゆきます。咲いて翌日には落ちてしまうので、1個あたりの花の寿命はおおよそ1日と短命ですが、沢山の蕾が 次々に花開き交代で 1週間ほどかけて開花し続けます。これを初夏から初秋にかけて約1か月ごとに繰り返します。
■ 成長期の始まり ■
桜が咲いてから1か月経った頃から春の新芽が節々から(枝葉の付け根から)頭を除かせ始める。
なるべく室内の最も明るい場所に置く。
(東京・神奈川では4月半ば頃)
↓
■ 屋外での管理を始める ■
関東以西の暖地ではGW前頃、夜間最低温度が10度以上の日が安定して続くようになったら屋外の日当たりの良い場所で管理し始める。
(最低気温は11-12度以上、最高気温が20度を超える頃が屋外管理に最も適した時期)
↓
■ 一番花の開花シーズン ■
「 3~5週間かけて新芽を伸ばし → 枝の先に蕾が沢山ついて何日かかけて次々に開花 」
(東京・神奈川では5月頃・時期的に早く花数は少ない)
↓
「最後の花が散る」
↓
■ 二番花の開花シーズン ■
「 3~5週間かけて新芽を伸ばし → 枝の先に蕾が沢山ついて7~10日ほどかけて次々に開花 」
(東京・神奈川では6月頃・初夏に入り花数は増えてくる)
↓
「最後の花が散る」
↓
■ 三番花の開花シーズン ■
「 2週間ほどかけて新芽を伸ばし → 枝の先に蕾が沢山ついて7~10日ほどかけて次々に開花 」
(東京・神奈川では7月頃・花数は多い)
↓
「最後の花が散る」
↓
■ 四番花の開花シーズン ■
「 10日ほどかけて新芽を伸ばし → 枝の先に蕾が沢山ついて7~10日ほどかけて次々に開花 」
(東京・神奈川では8月頃 ・花数は多い )
↓
「最後の花が散る」
↓
■ 五番花の開花シーズン ■
「 2~3週間かけて新芽を伸ばし → 枝の先に蕾が沢山ついて7~10日ほどかけて次々に開花 」
(東京・神奈川では9月頃・花数はやや少なめ)
↓
「最後の花が散る」
↓
■ 室内屋外での管理を始める ■
最低気温が10度を下回る前に室内の暗すぎない、なるべく明るい場所に取り入れ、春まで屋内で管理する。冬は暖房が効いている部屋でなくても大丈夫だがどんなに寒くても最低気温5度以上をキープできる場所に置く。
(東京・神奈川では11月の前半頃まで)
このような具合に、晩春から晩夏までの間に沢山の花の開花を3~5回ほど繰り返します( 東京・神奈川・千葉の場合。開花ターンを繰り返す回数は花後の剪定のタイミングやその年の気候により変動する)。
また、7-8月に咲く花数が一番数多く、花自体も大きく元気ですが、ひと晩香り高く咲き、翌日の午前中の間に夏の強い日差しで花は痛みます。そういう意味では5・6・9月の花の方が痛みにくく長持ちしますが、どの月に咲いた花も翌日には香りは半減してしまいます。
5月の低温期や、6月の梅雨時の日照不足や低温が続く時はせっかくの蕾が小ぶりになり花が小さく芳香も若干少なめになってしまったり、気候が寒すぎたり雨ばかりで晴れ間のない時は蕾が開花前に落ちてしまう事もありますが、真夏の7-8月は南国の花の本領発揮で確実に大きく香り高い花を咲かせます。
また、室内管理に入った寒い時期も暖かい室内では弱々しい枝を伸ばしてその枝先に香りの弱い小さめの花が咲く事もよくあります。
沖縄など一部の冬も温暖なエリアを除き日本では寒い時期はほとんど開花しませんが、タイやハワイなどの暖かい南国では年中開花を繰り返します。日本でも沖縄や九州南部、四国南部、伊豆諸島などの暖かいエリアでは冬こそ花はあまり咲かなくても開花時期は関東よりも長く、春早くから晩秋まで長く開花を楽しめます。
注意点としては、強い芳香には分娩促進作用があるため、妊娠初期(15週くらいまで)は念のため花の香りを沢山嗅ぎすぎない事。
少しくらいは問題ないようですが、沢山嗅ぐのは念のため避けます。
マツリカのエッセンシャルオイルである香り高いジャスミンサンバックの使用も妊娠中は避けた方が良いようです。
我が家では梅雨時から晩夏まで(東京だと6~9月)、 陽当たりの良いベランダに置いてあるマツリカの香りが夕刻から夜間の間開けた窓の網戸越しに風に乗って室内にふわ~っと流れ込んでくる時間は何とも言えない香りに包まれ、ジャスミンティーの爽やかで強い芳香が部屋中に漂よい至福のひと時を過ごせるのですが、8号サイズの鉢で何鉢も育てていると春夏は狭いベランダを占領して、家族がベランダに出れなくなってしまう上に、 晩秋には室内に取り込まないとならず狭い我が家を圧迫するため、里子に出す等してマツリカの鉢を泣く泣く減らしました。
育て方や利用方法はまた追って記事にしたいと思います。
ちなみに病虫害はあまりありませんが、ハダニとハダニによるベト病・すす病に注意します。特に、冬に入る前に室内管理に切り替えた間に冬の乾燥でハダニが発生する事があります。
5種類のマツリカ
マツリカにはいくつか種類がありますが、冒頭に挙げた通り我が家には以下の5種類のマツリカがあります。購入時の名前はいずれも単に一重や八重または牡丹咲きのマツリカ(または ピカケ ・アラビアンジャスミン)でしたが、ここでは区別を付ける為、以下の5つの名前で呼ぶ事にします。
以下はこの5種のうち「八重マツリカ( 千重咲き )」 「ミニ八重マツリカ」「一重マツリカ大」「一重マツリカ」の4種の花の大きさ比較の画像です。
「牡丹咲きマツリカ( 万重咲き )」は下に「八重マツリカ( 千重咲き )」との大きさの比較画像を載せてあります
ちなみに「一重マツリカ大」と「一重マツリカ」は上の画像の個体ではほとんど同じ大きさに見えて分かりにくいですが、「一重マツリカ大」の方がやや二重気味に立体的に咲くので実物を実際に見ると「一重マツリカ」よりも一回り大きく見えます。
「牡丹咲きマツリカ( 万重咲き )」
現在の日本で一般的に流通している八重マツリカより花弁が多く花自体も大きな品種です。花が大きい分、1株に咲く花数は一般的な八重マツリカより劣ります。
花
花のサイズは5種類の中で最も大きく直径は4~7cmと個体差がありますが、立体的に咲くため実際に見ると大きく感じる豪華な花です。
「牡丹咲きマツリカ」の花は巨大な八重の花形で、「八重マツリカ(千重咲き)」 より花が大きく、花の重なりも花弁数も多く、花が大きい分香りもより強いです。
花びらの数は…すみませんが多すぎて数えるのを断念しました。
他のマツリカと同様6-9月まで開花を繰り返しますが、 花の数は他の4種に比べると少なめで独特のペースで開花し続けます。
花弁が全て開ききらないものや、花弁が多すぎて中心部分は成長が追いつかず一部緑のまま開花するような奇形の花も多いです。
1日で開花できず2日くらいかけて開く事もありますが、やはり開花初日の夜(開花直後)が一番強い香りを放ちます。
また、蕾が立派すぎて咲いているように見える事があります。まだ蕾なのか咲いているのか分からない時は、香りを嗅いでみて明らかに強い芳香がする場合は開花1日目を迎えています。香りで判断する以外に見た目でも確認でき、花びらの一番外側が開いていたら開花している状態です。
実は5種のマツリカの花の香りはほぼ同じなのですがよく嗅ぐと微妙に異なり、この「牡丹咲きマツリカ(万重咲き)」は「八重マツリカ(千重咲き)」とほぼ同じ、強い芳香の中にすっきりしたシャープな香りを感じるシャキっとするような爽やかさも感じる香りです。花が大きな分、1輪あたりで見ると、 「八重マツリカ(千重咲き)」よりもこの 「牡丹咲きマツリカ(万重咲き)」の方が香りが強いという違いはありますが、香り自体は同じ香りがします。
「牡丹咲きマツリカ(万重咲き)」はなかなか園芸店でも見かけませんが、ネットで探すと見つかる事があります。
5種類のマツリカの中で一番大きな花で、「八重マツリカ( 千重咲き )」との大きさの比較は以下の画像の通りです。
葉・樹勢
牡丹咲きマツリカの葉は八重マツリカほど丸みがかっていませんが、やや縦長であまり尖らない先端を持つ葉です。
他のマツリカは大抵1節に2枚の葉を展開しますが、牡丹咲きマツリカは1節に3~5枚の葉がついて放射状に広がるように葉が節々に沢山つきます。
樹勢はあまり強くはないですが、他のマツリカのように枝が沢山出てくるというよりも、枝が長く伸びます。長い枝が毎年何本かずつ増えてゆき、その先端や節々に大きな花がポツポツと咲きます。 なのでひたすらのっぽで背の高い形状の樹形になりますが、縦の長さだけ適した時期に剪定すればいいだけなので、管理は比較的楽です(他の4種のマツリカの株は縦にも横にもボリュームが出てくるけど、こちらは主に縦にボリュームが出る)。
枝は他のマツリカと比べると新しい枝もしっかりした太さのある枝になります。
成熟した株になると長い枝が増え縦長の樹形になるので、秋に室内に取り込む際の形を整える剪定や、春の芽吹き前の剪定、また花後の剪定などで切り戻して扱いやすい長さに整えるようにして管理します。
耐寒性がある程度あり、暖地であれば地植えでも冬越えする、という情報も見かけますが、マツリカにも似たような品種が沢山あると思いますし、高かったのと割と大株に育っているため寒さで枯れてしまうのが怖くていつも室内で冬越えさせています。
また、他の4種のマツリカと比べると、関東では挿し木の発根率が低めですが一応発根はします。
「八重マツリカ( 千重咲き )」
園芸店で5~7月頃に販売されるある程度流通している八重のマツリカです。
花
「八重マツリカ (千重咲き) 」 は「 グレイスフルレディ ジェイド 」の名前で一般流通しているものと同じサイズ・形の花。
(今残っている八重マツリカの株は購入時にはグレイスフルレディ ジェイド という名前は付いていなかったけれど花形・葉・樹形・香りを見てほぼ同一のものと見なしています)
花びらの重なりの多いとても綺麗な花ですが、上の画像の右の花のように中心が開ききらない花がたまに咲く事がありますが、いずれも良い香りです。
花の直径は約3cm。立体的に咲くので大きく感じます。
( 「八重マツリカ (千重咲き) 」 に限った事ではないですが、マツリカ全般として初夏から夏の花は大きく、それ以外の春や秋口の花は少し小ぶりで咲く事があります。)
花びらの数は50~70枚以上ある花が多いと思います。
重ね構造のミニ八重マツリカと同様、一重の花を5重以上に重ねた構造になっています。
香りは「牡丹咲きマツリカ( 万重咲き )」と同様、濃厚で強い芳香の中に、グリーンを感じるような爽やかさのあるとても良い香りです。
花数は最も多花性の一重タイプよりは劣るものの、シーズン中沢山咲きますし、綺麗な八重花の存在感で花数が少ないと特別思う事もありません。
また、春や梅雨時に日照時間が足りない時は未熟な蕾(※下の画像)が正常な蕾に混ざって付く事があり、その蕾は咲いても不完全な形で香りもしません。一方、夏はしっかり香る花が沢山咲きます。
葉・樹勢
葉は艶のある緑で先端は丸く、冬に室内に取り込んだ時に一番きれいな葉姿だと個人的に感じています。
樹勢も一重タイプよりは枝が暴れにくい分扱いやすく、花も申し分なく綺麗で香りもとても良く、花のない冬の間の葉姿も綺麗なので、5種類の中で1鉢おすすめするとしたらこの「八重マツリカ( 千重咲き )」です。
「 ミニ八重マツリカ 」
上で紹介した八重茉莉花より一回り小さな八重花のマツリカです。
蕾は八重タイプというより一重タイプの蕾に似た縦長の蕾で、咲くと八重というより二重気味にも見える花です。
現在の日本ではあまり流通していませんが、「二重マツリカ」や「八重マツリカ」として販売されている事が稀にあります。
花
数重の小ぶりな花で直径は約2cmと1円玉のサイズで少し小さいものの、2~3重の立体的な可愛らしい花で、香りは他のマツリカと比べても劣らず強い芳香で花付きも良い品種です。
花びらは15枚前後で、上の画像のように2個(たまに3個)の一重の花を2重に重ねた重なり構造になっています。
「八重マツリカ( 千重咲き )」を、花の重なりを減らして小ぶりにし、木も葉も一回りコンパクトにしたものが「ミニ八重マツリカ」です。
5種類のマツリカの香りはほぼ同じですが、微妙に異なる事は上でも触れましたが、この「 ミニ八重マツリカ 」と以下で挙げる「一重マツリカ」は同じ香りで、濃厚な甘い香りがします。
「牡丹咲きマツリカ(千重咲き)」 や「八重マツリカ( 千重咲き )」は甘さの中に引き締まるようなシャープで爽やかな香りが混ざっているのに対し、この 「 ミニ八重マツリカ 」と「一重マツリカ」は甘さが強く出た香りです。
ちなみに香りの違いはどの種類も大差なく、どのマツリカの香りもほぼ同じ良い香りがします。「ミニ八重マツリカ」と「一重マツリカ」が5種のマツリカの中でも特別に甘ったるい香りという意味ではなく、若干甘さを感じる香りですが、この香りの説明はあくまで私個人の感想で、人によってはどのマツリカも全て同じ香りに感じる人も多くいます。
葉・樹勢
5種のマツリカの中ではもっともコンパクトな樹高であまり枝が伸びすぎず比較的取り入れやすい樹勢で、初心者の方やマンション暮らしの方でも気軽に取り入れやすいサイズなのでもっと流通して欲しいと個人的に思います。
葉の形はやや先端が尖っているものが多く、中には丸みを帯びた葉も混在します。葉の大きさは、他のマツリカよりも少し小さ目です。
樹勢は他のマツリカより弱いので大きくなりすぎず扱いやすく、小ぶりで移動しやすいので、夜に気軽に室内に移動できて生きた花の夜の強い芳香を鉢ごとそのまま楽しむのにも最適。
個人的には「八重マツリカ(千重咲き)」の次くらいにおすすめの、扱いやすいサイズのマツリカです。
あまり背丈は出ませんが、何年もすると縦にも横にも大きく育つので、何年かに一度、春の芽吹きの頃に高さに応じて半分~1/3くらいの樹高まで剪定し、横に飛び出した邪魔な枝もカットします。
沢山咲くので小ぶりだからと言っても他のマツリカの花と比べても引けを取りません。
あちこちで八重でもなく一重でもない二重のマツリカを探し求めて取り寄せた結果、たまたま入手しましたが、一般流通しているのは見たことがありません。運が良ければ出会えるかも。
「一重マツリカ 大」
現在の日本で一般的に流通している一重のマツリカより少し大きく、一重~やや二重気味に咲くマツリカです。
現在の日本ではあまり流通していませんが、先に紹介した「ミニ八重マツリカ」と同様に、「二重マツリカ」や「八重マツリカ」として販売されている事が稀にあります。
花
「一重マツリカ 大」の花は、下に挙げる「一重マツリカ」よりも少し大きい花で、「一重マツリカ」が平たく咲くのに対し、「一重マツリカ 大」の花はやや立体気味に咲き、二重気味にも咲く事があります。
花の直径は3~3.5cmほどで開き具合にもよりますが500円硬貨より少しだけ大きなサイズです。
花弁は10~15枚ほどと多く、二重の花のように見える事も。
中国(上海)に行ったときに似た形状・サイズのマツリカを見ましたが、 日本では園芸店で見かける事はあまりありません。ネットでもどれがこの花に該当するのか分からず、なかなか入手できない種類かもしれません。
花の香りは「牡丹咲きマツリカ」「八重マツリカ」の少しシャープなマツリカの香りと、「 ミニ八重マツリカ 」「一重マツリカ」の少しだけ甘さのあるマツリカの香りの、丁度中間の香りです。
葉・樹勢
「一重マツリカ 大」も「一重マツリカ」もどちらも枝の伸びが良く、5種のマツリカの中でも樹勢が強く大きく育ちます。
葉は下の「一重マツリカ」と同様、葉先が少し尖っている葉もあれば、先端が丸みを帯びた葉も混在します。「八重マツリカ(千重咲き)」の葉より一回り大きな葉で、「一重マツリカ」と並んで5種のマツリカの中最も大きな葉ですが、いずれのマツリカも葉によってサイズにバラつきはあります。
下で挙げる「一重マツリカ」と同様、「一重マツリカ大」は初夏から夏に新たに伸びる元気の良い枝の数本が1mほど長く伸び、自立せず垂れてしまう事があります。
これを見てツル性に分類される事があるのかな?とも思いますが、ほとんどの新しい枝は長さ40cm以内に収まり垂れる事なくしっかり自立します。
「一重マツリカ」
現在の日本で、一重のマツリカとして園芸店などで流通しているものです。
綺麗な一重の花です。
花
「一重マツリカ」の花付きはトップクラスで開花シーズン中、5種類のマツリカの中でも特に沢山花が咲き、その分枝が沢山伸び、樹勢が一番暴れやすい傾向があります。
「一重マツリカ」は上で挙げた「 一重マツリカ大 」よりわずかに小さな直径約2.5~3cmほど(春は小ぶりで夏は大きな花になる傾向あり)の甘く濃厚な香りの一重の花を咲かせます。
花びらは6~10枚ほどです。
上の画像のように、花びらの縁が外に少し反り返ったり、内側に巻き込んでいたりと形は様々ですが、おおむね平べったく咲きます。「一重マツリカ大 」の花との違いは、大きさと、平たく咲く形状です。
香りは上でも説明してきましたが、5種類のマツリカの中では「ミニ八重マツリカ」と同様、少しだけ甘さが全面に出た香りがします。とても良い香りです。
「一重マツリカ」 は「八重マツリカ(千重咲き)」と同様、一般に流通していて5~8月頃に園芸店でも見かけるので割と入手しやすいマツリカです。
葉・樹勢
葉は「一重マツリカ大」と並んで5種のマツリカの中で最も大きな葉で、 5種のマツリカの中で最も葉の先端が尖っています。
葉は他のマツリカと同じく緑色ですが、秋~冬の室内管理でも低温に晒されると葉の色が薄くなり黄緑色や黄色になり、一度葉が黄変すると元の緑には戻りませんが、春~夏に出てくる新しい葉は本来の綺麗な緑色です。
秋になっても外に出していると他のマツリカの中で一番早く葉が黄変してくるので耐寒性は5種の中でも弱いと思います。冬の室内でもなるべくグリーンな葉を楽しみたいので、「一重マツリカ」は10月末までに必ず室内に取むようにしています。
また、「一重マツリカ 大」と同様、「一重マツリカ」も初夏から夏に新たに伸びる元気の良い枝の数本が1mほど長く伸び、自立せず垂れてしまう事があります(これを見てツル性と説明される事があるのは「一重マツリカ大」と同様)が、ほとんどの新しい枝は40cm以内に収まり垂れる事なく自立します。
この「一重マツリカ」は枝の伸びが良く大きく育つため、冬に枯れる事のない南の国では生垣にも使えるそうです。
「一重マツリカ 大」も「一重マツリカ」も、一重の葉は他の八重のマツリカに比べて一回り大きく、樹勢も「八重マツリカ( 千重咲き )」より勢いがあり暴れやすく大きく育ちやすいので、あまり大きくしたくない場合は花後の剪定で枝を少し長めにカットしたり、春に強剪定したりして調整します。
我が家では花後に毎回少し長めに切り戻して剪定をしていますがそれでも沢山の枝が伸びて大きくなるので、数年に一度の割合で春の開花シーズン前のGW前頃に強めに切り戻しています(上の鉢画像の半分の高さほどに強剪定)。
最後に
まだまだマツリカにも沢山種類があると思いますが、私が現在持っているのは上に挙げた5種類です。
いずれもそれぞれ良さがあり、甲乙つけがたいですが、お気に入りのマツリカはありましたか?
マツリカの楽しみ方や育て方もこちらに合わせて記載していましたが、マツリカ愛が強すぎて記事が長くなるため (^_^;) 、記事を分けて後日アップし直したい思います。
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